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沖縄の基地反対活動のニュースを見るたびに暗澹たる気持ちに――国防ジャーナリスト・小笠原理恵

「自衛隊ができない30のこと 23」

 防衛省には事務仕事だけをする事務官がいます。職種にもよりますが、事務官等は戦闘員ではありませんから体力錬成などもなく事務作業をしています。防衛省職員(事務官等)は自衛隊員という身分ですが、事務官はごくごく普通の人たちで、防衛省や各自衛隊の総監部あるいは地方防衛局の職員として活躍しています。この中で、我々とあまりなじみのない地方防衛局の主な任務は、自衛隊・在日米軍と地方公共団体や地域住民をつなぐ「架け橋」となることです。とりわけ沖縄ではずっしりと重く辛い任務なのです。

陸上自衛隊

陸上自衛隊HPより

 2016年の夏頃に、沖縄防衛局の事務官たちが、「反対派」の激しい暴言を受け、掴みかかられる動画がインターネット上にアップされました。「沖縄でいったい何が起こっているのか?」とネット上で騒ぎになりました。現地では、高江ヘリパッド(ヘリコプター着陸帯)の工事に反対する人たちが違法にテントを設置し、工事車両が通れないように車両で封鎖していました。この抗議活動で防衛局職員が全治2週間の暴行を受け、活動家が現行犯逮捕されたりもしました。しかも、暴行の被害者は事務方の人たちでした。では、なぜ防衛局の事務官が被害に遭ったのでしょうか。その理由を知る人は少ないかと思います。

高江ヘリパッド 在日米軍の北部訓練場の基地内に新しく高江ヘリパッドを移設する工事は、防衛省が実施していました。沖縄防衛局の職員は「工事車両が通過できないので不法占拠物をどけてほしい」とお願いするために抗議活動家のもとに行っていたのです。

 なぜ、米軍基地内のヘリパッドの移設工事を防衛省がやっていたのでしょうか? それは、ちゃんと話を聞けば「な~んだ」となる話です。

 そもそも、沖縄県から「米軍基地の土地を返還してほしい」「米軍基地を縮小してほしい」という要請がありました。だから、政府が米軍と交渉して、米軍最大の北部訓練場の7500ヘクタールのうち4000ヘクタールの土地を返還する合意を得たのです。その条件として、返還する土地に敷設してあったヘリパッドを返還対象ではない3500ヘクタールの訓練場内の指定された場所に移設することと、その工事を日本側が行うことになっていたのです。地元の国頭村と東村は、返還後の跡地の国立公園指定や世界自然遺産登録を目指し、早期返還を要望して平成11年にはすでにヘリパッドの移設を了承していたのです。

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米軍基地縮小のためには不可欠な移設工事なのに

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