恋愛・結婚

佐藤優の人生相談「子供が欲しくないと考えるのは変ですか?」

【佐藤優のインテリジェンス人生相談】 “外務省のラスプーチン“と呼ばれた諜報のプロが、その経験をもとに、読者の悩みに答える! ◆相談者 どきんちゃん(ペンネーム) 会社員 32歳 女性 「私は契約社員として働いている独身女性です。ぜひご意見を教えて頂きたいのですが、結婚したとして、子供を持ちたくないというのは人としておかしいですか? その人を愛することと子供を持つことに私の中でものすごく距離があるんです。私は子供は親を選べない、親も大変だけど子供も大変なんですって幼子心ながらに思っていたのです。子供がいなければいないなりの夫婦の形があってもよいと思うのですが……。」 ◆佐藤優の回答 あなたのおっしゃる通り、「子供がいなければいないなりの夫婦の形があってもよい」という考えに私も賛成です。人間と人間の関係には、努力や計算で実現することができない縁があります。結婚して子供が生まれるかどうかというのも、究極的には人知を超えた縁によるものと私は考えます。子供ができる縁に恵まれた人は、子供を大切に育てる義務が生じます。また、結婚して子供ができない場合だけでなく、自発的意思で子供をつくらないという場合も、その根源的な力は、人知を超えた縁によるものと私は考えます。「子供をつくらない」という考え自体が、論理ではなく人間を動かす根源的な感情に基づくからです。この感情を意思でコントロールすることはできません。感情は究極的には人間の外部から来るものです。キリスト教的に言うならば神、仏教的に言うならば縁になるでしょう。 重要なのは、子供をつくるか否かでなく、信頼できるパートナーを見つけることです。よいパートナーを見つけるには、逆説的ですが、人間は孤独であるという現実を見据えることです。浄土真宗の僧侶である川村妙慶さんが孤独について的確な指摘をしています。 <私たちは、生まれる時も一人、死ぬ時も一人です。「このご飯、おいしいから一緒に味わいたい」といっても、それぞれの胃袋に入れていくしかないのです。悔しさを共有することはあっても、同じ気持ちにはなれません。よくあなたと私は一心同体だからとおっしゃる方がいます。しかし同じ体にはなれないのです。悔しいかな、同じ心にもなれません。/自分だけは絶対に孤独になりたくないと願っても、それは自分がどうにかなりたいという執着でしかないのです。どんな時も最後は一人です。>(『こんな時親鸞さんなら、こう答える』80頁) 人間は弱い存在だからパートナーを必要とするのです。「子供は親を選べない」というのは、確かにあなたがおっしゃる通りです。しかし、恋人も、仕事も、自由に選べているように思っていても、本当は人間の目に見えない力によって、定められているのだと私は考えます。あなたが具体的に誰かと付き合っていて、相手があなたとの子供を欲しがるために、結婚に踏み切ることができないというならば、思い切ってまず同棲してみることです。1年くらい一緒に暮らしてみて、この人とならば、生活を共にしていけると感じたならば、思い切って結婚してしまえばいいと思います。子供を持つかどうかということは、パートナーと生活しているうちに自ずと答えがでてきます。 ちなみに、子供を持たないのならば、老後の経済設計も今のうちにきちんと立てておく必要があります。ライフプランナーと相談して、年金以外にどれくらいの支出が必要になるか、大雑把な数字をつかんでおくことをお勧めします。あなたの心の中に幸せを掴む力があります。この力を信じましょう。 【今回の教訓】 子供は人知を超えた縁により授かるもの 【佐藤優】 60年生まれ。85年に外務省入省。在英、在ロシア連邦大使館、国際情報局分析第一課で活躍。02年に背任の容疑で逮捕。『インテリジェンス人生相談―復興編―』(小社刊)が好評発売中
’60年生まれ。’85年に同志社大学大学院神学研究科を修了し、外務省入省。在英、在ロ大使館に勤務後、本省国際情報局分析第一課で主任分析官として活躍。’02年に背任容疑で逮捕。『国家の罠』『「ズルさ」のすすめ』『人生の極意』など著書多数

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◆今回の参考文献
こんな時親鸞さんなら、こう答える―妙慶尼さんの元気エッセイ 「思い込み」を捨てる48のヒント

NHKラジオなどでアナウンサーを経験した後、30代から本格的に僧侶としての活動をスタートした“カリスマ僧侶”が「楽しく生きる秘訣」を説く。10年刊

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