ドル円の歴代「大小相場」トップ5はこんな顔ぶれ
※<資料:ドル円の月間値幅推移>はコチラ⇒https://nikkan-spa.jp/?attachment_id=683562
【吉田 恒氏】
1985年、立教大学文学部卒業後、(株)自由経済社(現・(株)T&Cフィナンシャルリサーチ)に入社。同社の代表取締役社長などを経て、2011年7月から、米国を本拠とするグローバル投資のリサーチャーズ・チーム、「マーケットエディターズ」の日本代表に就任。国際金融アナリストとして、執筆・講演などを精力的に行っている。また「M2JFXアカデミア」の学長も務めている。
2000年ITバブル崩壊、2002年の円急落、2007年円安バブル崩壊など大相場予測をことごとく的中させ話題に。「わかりやすい、役立つ」として、高い顧客支持を有する。
著書に『FX7つの成功法則』(ダイヤモンド社)など
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ドル/円の記録的な小動きが続いている。過去のドル/円の小動き、逆に大相場になったのはどんな年で、そこにはどのような特徴があったかを今回は考察してみる。
◆大相場は円高で、小動きは円安で起こりやすかった
1990年以降のドル/円の年間値幅の小幅と大幅の上位5位までは以下のようになる。
1位=2011年(中期トレンドが円高から円安へ転換)
2位=2012年(中期円安トレンド、米大統領選挙年)
3位=2006年(中期円安トレンド)
4位=1996年(中期円安トレンド、米大統領選挙年)
5位=2004年(中期円高トレンド、米大統領選挙年)
1位=1998年(中期トレンドが円安から円高へ転換)
2位=1990年(中期トレンドが円安から円高へ転換)
3位=1993年(中期円高トレンド)
4位=1995年(中期トレンドが円高から円安へ転換)
5位=2008年(中期円高トレンド、米大統領選挙年)
以上のように見ると、「小動き」は中期トレンドが円安の途中または始まりの年に起こることが多かった。ちなみに、小幅第5位の2004年も、2005年1月から中期円安トレンドが始まったので、その寸前というタイミングだった。逆に「大相場」は中期円高トレンドの途中または始まりで起こることが多かった。
これはドル/円の長期トレンドが円高・ドル安だったことの影響がありそうだ。長期トレンドに沿った方向で相場は加速しやすく、それと逆行する場合、値動きも限定的になりやすかったということではないか。ただ、その長期トレンドがドル高・円安へ転換を始めたとの見方もあるため、「小動きは円安、大相場は円高」という傾向の変化も今後は注目される。
ところで、小動きトップ5のうち実に3回が、4年に一度の米大統領選挙年だった。米大統領選挙年のドル/円は小動きになりやすいという代表的な「FXアノマリー」を再認識させる結果といえるだろう。
そんな米大統領選挙年だったのに、大相場の第5位にランクインしたのが2008年だった。これはリーマンショックに象徴される金融危機相場に伴う結果だった。
一方で、中期円安トレンドが始まった年でありながら大相場第4位にランクインしたのは1995年だが、これは初めて1ドル=100円を突破した円高、「超円高」の反転相場で、「ミスター円」と呼ばれた財務官僚、榊原英資氏の活躍が世界の金融市場で注目されたまさに「異色の大相場」だった。
以上、ドル/円の過去の小動き、大相場の代表例とその特徴を考察してきた。これまでは「小動き」は円安で、「大相場」は円高で起こりやすかった。その意味では、今年の場合も円安トレンド継続なら値幅拡大は自ずと限られ、円高へ転換するようなら大相場の可能性が出てくるのだろうか。
そうでなければ、長期トレンドが円高から円安へ転換を始めているとして、それが「小動き」と「大相場」の傾向にも、これまでとは違った影響が出てくるのだろうか。(了)
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