バレンタインは年々盛り下がっている!? 経済学で分析してみた
【週刊SPA!連載】
★週刊チキーーダ! 飯田泰之・荻上チキのヤバい研究報告書
2月の風物詩・バレンタイン。誰からもらえるか? いくつ集まるか? そんなことに一喜一憂する年ではなくなったけれど、それでもやっぱり気にはなる。が、改めてデータを見返してわかったのは“イベント”としてのバレンタインの終焉!? 義理チョコ1つもらえなかったとしても、気にする必要はない!というリポートです。
◆バレンタインの経済学――消費動向から見るイベントの栄枯盛衰
飯田:さて今回の自由研究はバレンタインの経済学。多くの人が感じているように、昔に比べてちょっとバレンタインって地味になってきたよね。
チキ:年をとったからか、もうなくてもいいんじゃないかという気持ちでいっぱいです。
飯田:チキ君はいずれ、息子がいくつもらえるのかを気にするようになるんじゃないのかな。さてさて、手はじめに、家計調査を使って、一年間のチョコレートへの支出額のうちの2月の支出の占める割合を見てみよう。業界から見ると年間売り上げの何%が2月の売り上げかという数値になる。ちなみにすべての月で同じだけ消費するという場合はすべての月のシェアは約8.3%になるよ。
⇒【グラフ】はコチラ https://nikkan-spa.jp/?attachment_id=793529
チキ:こうして見ると、バレンタインがイベントとして「つくられていった」過程も見て取れるね。だんだんチョコの「2月シェア率」が伸びていき、その後落ち着く、という。
飯田:日本特有の習慣である「チョコレートを贈る日」の起源には諸説あるんだ。一番古いものは1936年の神戸モロゾフ説だけどこれは現在のバレンタインデーにつながるものではなさそうだなぁ。
チキ:ルーツがどこにあるのかということと、それがキャズムを超えるタイミングが何かということは、違うもんね。
飯田:あとは、1958年のメリーチョコレートと伊勢丹のコラボと1960年の森永製菓の新聞広告。遅めのものとしては1968年のソニープラザ説などがあるみたい。広辞苑は1958年説をとっているけど、大衆行事として大きなものになったのはやはり1980年代かな。
チキ:当時は小中学生。ほぼ無縁の人生であった。最初にバレンタインを大々的に取り上げた少女漫画は何なのかとか、気になるね。
飯田:菓子類全体やチョコレート菓子では2月の突出は見られないので、やはりバレンタインの影響はいまだに大きいみたい。キャンディーは3月にはちょっとだけ盛り上がる(10%程度)けどこれがホワイトデーなのかどうかは微妙。
チキ:お返しがキャンディーだという説とマシュマロだという説もあるけれど、大人になればもう、ジュエリーとかになっていくわけだから、あまり大きな変動にはならないイメージはあるよね。
飯田:チョコレートでジュエリーって不等価交換もいいとこだよね……。ただ今もその手の海老で鯛が釣れているのかも調べたいね。そしてバレンタイン・シェアの盛り上がりは1992年をピークに低下に向かう。2000年前後で底打ちしてからは25%弱で安定したという感じ。
チキ:一方、チョコそのものの消費量は増えているから、風習としては一定規模に収まっている。
飯田:製品のライフサイクルでは、導入・成長・成熟・衰退という経路をたどるといわれるんだけど、衰退というよりは定着という感じだね。ただし2014年からは再び減少に転じている。これが一年だけのエラーなのか、今年のバレンタインの動向が気になるね。
チキ:バレンタイン死ね死ね団、みたいな集団が活躍した結果、とかではなさそうだな。
⇒【後編】「バレンタインはいまやハロウィンより下火!?」に続く https://nikkan-spa.jp/792702
【飯田泰之】
’75年生まれ。エコノミスト。明治大学准教授。「男子校だったのでほとんど縁がなく、大学入学以降はバレンタインはピークアウト後でした」
【荻上チキ】
’81年生まれ。評論家。『シノドス』編集長。「バレンタインのいい思い出はありませんが、誕生日にもクリスマスにもありませんでした」
調査協力/神谷翔吾


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