「明治・ロッテ」とグリコで明暗。バレンタインでチョコレートの売上に“差が出る”理由
中小企業コンサルタントの不破聡と申します。大企業から中小企業まで幅広く経営支援を行った経験を活かし、「有名企業の知られざる一面」を掘り下げてお伝えしていきます。
総務省の家計調査によると、2人以上世帯の2023年2月のチョコレート支出額は1307円。3月になると、656円まで落ち込んでいます。バレンタインデーがある2月は、チョコレートの支出額がそれ以外の月と比較して2~4倍程度まで跳ね上がるのです。
この時期に期待を膨らませるのは、チョコレートを待ち望む人だけでなく、メーカーや販売店も同じ。ただし、バレンタインデーに対する消費者意識は目まぐるしく変化しています。
チョコレート産業は、内需が縮小傾向にある日本の中でも堅調に成長しています。
2人以上の世帯が、2022年にチョコレートとチョコレート菓子に支出した総額は9006円(「総務省 家計調査」)。前年比1.8%の増加でした。2015年は7026円で、7年でおよそ2000円(3割)増えています。財布のひもが固くなりがちな中で、チョコレートの支出額は右肩上がりで上昇しているのです。
全日本菓子協会(「菓子関係データ」)によると、2022年のチョコレートの国内生産金額は3998億円。前年比2.5%の増加でした。新型コロナウイルス感染拡大の影響でカカオなどの輸入が滞り、生産金額は2020年に前年比2.8%減少しました。しかし、翌年には持ち直して増加に転じています。
2022年の生産金額はコロナ前の2019年を0.5%上回りました。コロナ禍を乗り越えて成長へと向かっているのです。
コロナ禍以降は在宅時間が増え、消費者が菓子を食べる頻度は高まったことが知られています。日本人が好きな菓子の中で、圧倒的な人気を占めるのがチョコレートとアイスクリーム。人と接触する機会が少なくなったため、ミント系タブレットは消費量が減少したと言われています。
日本のチョコレート業界のトップで、シェア2割を超えるのが明治ホールディングス。ミルクチョコレートやアーモンドチョコレート、きのこの山、たけのこの里、チョコレート効果など、コンビニやスーパーで手に入る定番中の定番と言えるチョコレート菓子を販売しています。
2022年度のチョコレート・グミの売上高は、前年度比4.9%増の1028億円でした。2023年度は同2.2%増の1051億円を予想しています。2023年度上半期の実績は447億円、進捗率は42.5%。バレンタインの2月を含む下半期に売上が偏重しています。寒い時期にチョコレートが売れやすいというのもありますが、2月14日というたった1日が巨大企業の業績に大きなインパクトを与えているのも間違いありません。
2015年と比較して年間支出額は「2000円増加」
メーカーによって「売れ行きが違う」バレンタイン
フリーライター。大企業から中小企業まで幅広く経営支援を行った経験を活かし、経済や金融に関連する記事を執筆中。得意領域は外食、ホテル、映画・ゲームなどエンターテインメント業界
記事一覧へ
記事一覧へ
この記者は、他にもこんな記事を書いています
ハッシュタグ