更新日:2018年04月27日 13:44
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「ICOの基軸通貨」イーサリアム母さんは子だくさん!――マンガで覚える「仮想通貨今昔物語」

 ビットコインに次ぐ時価総額を誇るイーサリアムを抜きに、仮想通貨は語れない! 若き天才の手によって生み出されたイーサリアムはなぜコイナーたちを魅了してやまないのか? その魅力を仮想通貨投資家にしてイラストレーターのえりしー氏がマンガに! 「仮想通貨今昔物語」第2話は「イーサリアム母さんは子だくさん」なり イーサリアム母さんは子だくさん!※マンガの解説は後半から <解説>  ビットコインの生みの親「サトシ・ナカモト」に比肩する仮想通貨界の寵児といえば誰か? “コイナー”たちが真っ先に名前を挙げるのが、「イーサリアム(ETH)」の生みの親である天才ヴィタリック・ブテリン氏だ。  ロシア・モスクワ生まれのヴィタリック氏はコンピューターアナリストの父とビジネスアナリストの母の血を受け継ぎ、幼少期から数学・経済学等で非凡な才能を開花。プログラミング技術にも長けていた彼の人生は、ビットコインとの出会いをきっかけに一変していった。

19歳にしてイーサリアムを開発した仮想通貨界の寵児、ヴィタリック・ブテリン氏

 ネットでの情報収集の傍ら、ビットコインに関する記事のライター仕事を“ビットコイン支払い”で請け負うように。そうして蓄積した知識の結集として2013年に考案したのがイーサリアム。なんと、ヴィタリック氏19歳(!)のときである。  そんなイーサリアムの特徴を一言で表すなら、陳腐な表現で恐縮だが「スマートな仮想通貨」だろう。ビットコインと大きく異なるのは「スマートコントラクト」(直訳すると「賢い契約」)という技術を実装している点なのだ。  スマートコントラクトとは、「契約」を自動的に実行させる仕組みだ。そのイメージは「自動販売機」。お金を入れて、ボタンを押せば、選択した飲み物が自動的に提供されるように、「AさんがBさんに10ETH払ったら○○する」という契約をイーサリアムに載せることが可能なのだ。  例えば、有料のパズルゲームをしたい、と考える人がいたとする。多くの人はiTunesやGoogle Playなどにアクセスしてゲームを購入して、ダウンロードしたうえでゲームを楽しむことだろう。ところが、スマートコントラクトを利用すれば、「AさんがBさんに10ETH払えば、パズルゲームができる」というプログラムを組み込み、送金と同時にゲームのダウンロードを実行することが可能。「それじゃ、iTunesで買うのと変わらないじゃないか!?」と思う人も多かろうが、スマートコントラクトならばiTunesなどのプラットフォームにまったく手数料を支払わずに、ゲームを購入できてしまう。実にエコな仕組みなのだ。  なお、厳密に言えばイーサリアムは仮想通貨ではなく、「分散型アプリケーション」やスマートコントラクトを構築するための“プラットフォーム”だ。一般に取引所等で売買されている仮想通貨はイーサリアム上で発行されている「Ether」(イーサ)である。

高値更新中のイーサリアム(coinmarketcapより)

 ビットコインではあらゆる取引情報がネットワーク上の「ブロックチェーン」に蓄積されていく。世界中の端末でその情報を共有することから、そのブロックチェーン技術が「分散型台帳技術」とも呼ばれることをご存じの人も多いだろう。「AさんからBさんに△BTC支払われた」という取引情報が、ネット上の“仮想台帳”に記載されていくイメージだ。  このブロックチェーン技術には「データの改竄が困難」で「中央管理者なしに機能する」という特徴がある。詳細な解説は割愛するが、「AさんがBさんに1BTC支払った」という情報を「AさんがCさんに1BTC支払った」と改竄しようとしたところで、取引情報を格納した“ブロック”(イメージは台帳の1ページ)の連続性が失われてしまう。ブロックチェーン技術では「長いブロックチェーンこそが正義!」というルール付けがされているので、連続性のないブロックはおのずと破棄されてしまうのだ。「中央管理者なしに機能する」のは世界中の“マイナー(採掘者)”と呼ばれる人たちが、コンピューターリソースを活用してみんなで取引承認作業を行っているからにほかならない。

長いブロックチェーンが「正しい」と認識するようプログラミングされている

個性派揃いの”イーサリアムチルドレン”たち

 話を元に戻すと、イーサリアムはこのブロックチェーン技術の特徴を見事に生かし、取引記録に加えて「契約の保存&自動執行」を実現した仮想通貨(くどいが厳密にはプラットフォーム)なのだ。  では、イーサリアムを活用することでどんなことができるのか? その一つの活用法が、「ICO(Initial Coin Offering)」という仮想通貨による資金調達だ。企業が資金調達の際に行うIPO(Initial Public Offering)と異なり、条件は緩く、コストは格安。IPO時には株を発行するが、ICO時には「トークン」と呼ばれる独自のコインを発行する点に特徴がある(ICOについての詳細は※『ビットコイン以上のリターンを狙え!「ICOアナリスト」が教えるサルでもわかるICO講座』を参照)。  現在ではイーサリアム以外にも独自トークンを発行できるプラットフォーム型の仮想通貨としてNEM(ネム/XEM)、Waves(ウェーブス/WAVES)などが存在するが、イーサリアムはいち早く「ERC20」というトークンの統一規格を用意。規格がバラバラで必要なウォレット(=財布/トークンを管理するアプリケーション)から異なっていたところ、1つのウォレットでERC20規格のさまざまなトークンを管理できるようにしたのだ。  この結果、誰でも簡単に独自のトークンを発行できる環境が完成し、あらゆる企業がこぞってイーサリアムベース(ERC20)のトークンの発行を開始。2017年には“ICOバブル”と呼ばれるほど、大ブームが巻き起こったのだ!  ちなみに、ICOではイーサリアムを送金して、独自トークンを受け取るプロジェクトが大多数を占めている。それはスマートコントラクトを生かして、「期日までに●ETH送ってくれた人には、▼トークンを自動的に送る」といった“契約”を組み込むことが容易なためだ。イーサリアム母さんは実に子だくさんなのだ。  そのため、イーサリアムは「ICOの基軸通貨」という性格をも擁する。イーサリアムのプラットフォームを活用して、トークンが生み出され、イーサリアムを介して取引されている塩梅だ。

イーサリアムチルドレンの優等生「OmiseGO」

 そんなイーサリアムから生まれたトークンにはどんなものがあるか? しばしばICOバブルの代表例として取り上げられるのが、OmiseGO(オミセゴー/OMG)だ。

ICO直後に急騰に今なお上昇中のオミセゴー(coinmarketcapより)

 その名前から推察できるように、プロジェクトの発起人は日本人。「東南アジア全域で決済可能な仮想通貨」として2017年6月にICOを実施した結果、タイの大手オンライン決済サービスとの事業統合やタイのマクドナルドとのタイアップなどを立て続けに発表した効果もあって、その価格はたった3か月で50倍に急騰! ICO価格0.27ドル(約30円)に対して、現在も2500円台(2017年1月9日時点)にあるのだ。
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「Augur」で保険業界に革命が起きる!?
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