更新日:2023年05月07日 13:44
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今年も栄冠に輝くのは、どの妄言か?「おっさん流行語大賞2019」――patoの「おっさんは二度死ぬ」<第71話>

 昭和は過ぎ、平成も終わり、時代はもう令和。かつて権勢を誇った“おっさん”は、もういない。かといって、エアポートで自撮りを投稿したり、ちょっと気持ちを込めて長いLINEを送ったり、港区ではしゃぐことも許されない。おっさんであること自体が、逃れられない咎なのか。おっさんは一体、何回死ぬべきなのか――伝説のテキストサイト管理人patoが、その狂気の筆致と異端の文才で綴る連載、スタート! patoの「おっさんは二度死ぬ」【第71話】おっさん流行語大賞2019  2019年もユーキャン新語・流行語大賞のノミネート語が発表となった。大賞などの各賞の発表は例年12月1日なので、この「おっさんは二度死ぬ」が更新される頃には大賞などの各賞が発表されているだろう。毎年のことながら、あっという間である。  この「新語・流行語大賞」のニュースを聞くと、うっそ、もう今年終わるの、となるわけである。そして波状攻撃のように歌謡曲の各賞の発表やFNS歌謡祭、マライア・キャリー、あのあたりが束になって年末感を演出してくる。本当に、もう2019年が終わるのだ。嘘だろ。本当に終わるの。嘘。ペテンじゃないの。  さて、月日の流れはさておき、ユーキャン新語・流行語大賞に話を戻すが、毎年のことながら、そのノミネート語はちょっとよく分からない。何がよく分からないかというと、本当に流行したのかという点だ。以下に引用するが、本当に全部が流行したのかという観点で考えて欲しい。 ・あな番(あなたの番です)/命を守る行動を/おむすびころりんクレーター/キャッシュレス/ポイント還元/#KuToo/計画運休/軽減税率/後悔などあろうはずがありません/サブスク(サブスクリプション)/ジャッカル/上級国民/スマイリングシンデレラ(しぶこ)/タピる/ドラクエウォーク/翔んで埼玉/肉肉しい/にわかファン/パプリカ/ハンディファン(携帯扇風機)/ポエム(セクシー発言)/ホワイト国/〇〇ペイ/MGC(マラソングランドチャンピオンシップ)/免許返納/闇営業/4年に一度じゃない。一生に一度だ。/令和/れいわ新選組(れいわ旋風)/笑わない男/ONE TEAM(ワンチーム) (ユーキャン新語・流行語大賞2019ノミネート語より引用)  この中から、大賞が選ばれるわけだが、この原稿の締め切り時点では不明である。  ただし、更新時点では判明しているはずなので予言しておく、たぶん「ONE TEAM」が大賞だ。周りの人間で言ってる奴なんていない、それどころか真顔で「ワンチーム!」なんて言われたら吹き出してしまう。けれどもこれが大賞だ。外れていたら僕のサイン入り著書10冊を自腹で読者プレゼントにしてもいい。それくらい自信がある。  昨年も書いたが、この流行語大賞のノミネート語、毎年のことながら全部が納得というわけにはいかない。広いジャンルを網羅しており、知らないジャンルでの流行語を理解できない、という点もあるが、一番の原因は流行ったわけでもないのに無理やり入れているという点だろう。  ノミネート語の「おむすびころりんクレーター」なんて言ってるやつ見たことないぞ。調べてみると惑星探査機「はやぶさ2」が小惑星に生成させた人工クレーターの愛称らしいが、こんなこと巷で言ってるやつを見たことがない。いたとしたらけっこう危ない。  いつもながらノミネート語は理解できないので、今これを読んでいるおっさんどもは、これが流行なんだと真に受けてオフィスで連発しないことだ。おっさんが突然「おむすびころりんクレーター」とか言い出したらけっこう危ない。
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競馬場で飲んだくれているおっさんに聞いた2019年の流行語
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テキストサイト管理人。初代管理サイト「Numeri」で発表した悪質業者や援助交際女子高生と対峙する「対決シリーズ」が話題となり、以降さまざまな媒体に寄稿。発表する記事のほとんどで伝説的バズを生み出す。本連載と同名の処女作「おっさんは二度死ぬ」(扶桑社刊)が発売中。3月28日に、自身の文章術を綴った「文章で伝えるときにいちばん大切なものは、感情である 読みたくなる文章の書き方29の掟(アスコム)」が発売。twitter(@pato_numeri

pato「おっさんは二度死ぬ」

“全てのおっさんは、いつか二度死ぬ。それは避けようのないことだ"――


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