更新日:2021年11月24日 07:10
恋愛・結婚

あさりの“PCR検査”をしていた男の子がAV女優になるまで

 青春時代の4年以上を「あさりの研究」に費やしたのち、急に思い立ち「男の娘のAV女優」になった異色の経歴の男性がいる。現在、男の娘AV女優界で人気急上昇中のベアトリクスちゃん(@Beako1001)だ。ツイッターのフォロワー数は1万人以上、デビューからわずか1年弱で出演本数は16本以上という売れっぷりだ。
ベアトリクスちゃん

ベアトリクスちゃん

 そんなベアトリクスちゃんだが、あさりの研究を行っていた当時は、新型コロナウイルスのニュースで耳にする“PCR検査”をあさりにしていたという。いったい、どのような経緯でAV女優に転身したのだろうか。

なぜあさりの研究をすることになったのか?

 ベアトリクスちゃんは“男の娘”だ。男の娘とは、見た目は女の子だけど身体は男の子な男性のことを指す。性自認も女性であるトランスジェンダーであるケースもあるが、ベアトリクスちゃんは上京した1年前までは男性として過ごし、性自認も男性だったという。現在は、性自認が女性のバイセクシャル。最近までお付き合いしていた相手も女性で、ちょっと複雑だ。 「1998年10月1日生まれの21歳。山口県の高等専門学校を卒業の3か月前に電撃退学し上京後、男の娘AV女優になりました。ベアトリクスは、ダンテの叙事詩『神曲』に出てくる女性のモデルとなったベアトリーチェが由来です」  在籍していた高専であさりの研究に従事。生物の研究をしたくて入学したというが、なぜあさりだったのか。ほかにも研究対象の選択肢はいくつもあったはずだ。
男性時代のベアトリクスちゃん

男性時代のベアトリクスちゃん

「正直いうと、あさり科の先生は指導がゆるく、楽そうだったという理由であさりを選びました。しかし、やっていくうちにどんどんとあさりにのめり込んでいきました。いま、新型コロナウイルスで“PCR検査”という言葉をよく聞くと思いますが、私はあさりにPCR検査をしていました。  山口県は当時、あさりの放流を推奨していたんですよ。ただ、海外産のあさりが放流されてしまうと、日本古来のアサリの生態系が崩れてしまうんです。そういった事態を防ぐための研究をしていました」

あさりの研究員を辞めて都内でネットカフェ生活

 同級生は卒業後、研究職についたり一般企業に就職したりするのが主な道だ。アサリの研究を真面目に行っていたベアトリクスちゃんもあと3か月待っていれば卒業できたはずなのだが、直前で辞めてしまったのだという。いったい、なぜなのか? 「5年時(高専は5年制)の春頃に趣味で女装をはじめたんです。もともとコスプレは好きで女装もその一環でした。部屋のなかで自撮りをしてツイッターにアップして、みんなの反応を楽しんでいただけなんです。高専時代は寮生活だったので、本当に部屋のなかだけで楽しんでいただけだったんですけどね……」  同じ年の夏、その投稿を見た制作会社から「AVに出ませんか?」とオファーがあり、素人モノの作品に出演。そこで、「素人モノではなく、AV女優として売れてみたい」という気持ちが芽生え、数か月後に思い切って中退。大反対する両親を振り切って、「AV女優になるために」上京した。
ベアトリクスちゃん

寮の自室で女装を楽しんでいた頃のベアトリクスちゃん

「両親には上京する理由を正直に話したため、ほとんど家出同然でした。お金もなにもない状態だったので、しばらくは都内のネットカフェで生活。その後、風俗で働きながらお金を貯めて、1か月後にやっと部屋を借りられました。『上京は、卒業してからでもよかったんじゃないか?』と他人から言われることはあります。でも、もし卒業していたらそのまま研究者の道に進む気持ちになっていたと思うんです。だからこそ、中退という道を選びました」
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強メンタルはアサリのおかげ
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元週刊誌記者、現在フリーライター。日々街を徘徊しながら取材をしている。著書に『ルポ西成 七十八日間ドヤ街生活』(彩図社)。Twitter:@onkunion

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