新宿に客足戻らず、プロレス団体の飲食店経営者「アイドルの活動を参考に」
コロナ禍において、経済的ダメージが大きい飲食業界。東京など大都市圏を中心に発令された緊急事態宣言下では、時短営業の要請が出ているため、20時で店を閉めざるをえない状況だ。このまま営業を続けるのか、閉店を選ぶのか。苦境に立たされている店も少なくはない。
“夜の街”として名指しを受けた経緯のある新宿歌舞伎町。通りを歩く人の姿も以前のようには戻っていない。ここで居酒屋、バーなどを経営している株式会社CyberFight。DDTプロレスリングや、プロレスリング・ノアの経営を行うプロレス事業企業でもある。
――元々はプロレス団体であるDDTプロレスリングが、飲食業を手掛けるようになったきっかけは何だったのでしょうか。
「高木(CyberFight代表取締役社長の高木三四郎氏)が、レスラーのキャリアに対して、プロレスを辞めた後に仕事に困ることがないようにと、生涯雇用を目指して飲食事業部を立ち上げました。歌舞伎町にある『プロレス&スポーツBarドロップキック』が1号店です。カレー屋なども手掛けたのですが、今も残っているのが、『ドロップキック』と、同じビルにある『エビスコ酒場』、新宿三丁目にある『Bar Lounge SWANDIVE(スワンダイブ)』です」
――それぞれの店の特徴を教えてください。
「CyberFightに合併するまでは、DDTフーズという会社として経営していました。従業員はだいたい30~40人。店舗によって、業種も違っています。『エビスコ酒場』は炭火焼き居酒屋で、プロレスファン以外にも、観光客や一般のサラリーマンの方など幅広いお客さんが来てくれています。『ドロップキック』は、プロレスファン。『スワンダイブ』は、プロレスファンのほかに、ウイスキーが好きな人がメインターゲットです」
――コロナ禍で、特にコロナの影響があった店は?
「客足でいうと『エビスコ』と、『ドロップキック』ですね。『ドロップキック』は、スタッフが出勤できない時期があったんです。『ドロップキック』は、DDTの選手が実際に働いているので、もちろん、店舗は感染症対策を万全に営業していたのですが“新型コロナウイルス感染のリスクを少しでも減らして大会に影響がでないよう、選手が働くのを控えてくれ”という方針になりました。ただ、従業員は選手しかいない。選手が出勤できないとなると、店も休業状態になる感じでした」
――歌舞伎町の風評被害の影響はありましたか?
「かなり響いていますね。『スワンダイブ』がある新宿三丁目の方がまだ客足が悪くないんです。歌舞伎町って、新宿駅から歩くじゃないですか。ちょっと足を延ばさないといけない。歌舞伎町に来る理由がないと、お店に来づらいというか。年末年始も、団体客の予約は1件もなかったです。歌舞伎町自体も、以前と比べたらサラリーマンが減った。遊びに来ている人たちも、減りましたね。歌舞伎町に勤めている人たちは、減っていない気がするんですけれど(笑)」
――前回の緊急事態宣言は、どのような対応をしましたか?
「一回目の時は、3店舗全部休業して1か月半ほど店を閉めました。閉める前と、宣言解除後に開けてすぐは、店舗によっては売り上げが10分の1に減りました。そのあと少し売上が回復してもコロナ前の3分の1程しかありません」
――緊急事態宣言時の従業員の待遇は?
「1回目の休業は、営業できないから休業手当を出しました。直近3か月の出勤している平均の給与8割を支払いました。社員は、満額出しました」
――最初の緊急事態宣言は、かなり影響が大きかったんですね。では『Go To Eat』キャンペーンの効果はどうでしたか。
「年末にエビスコだけ参加しましたが、『Go To Eat』はあまり影響なかった。エビスコは、元々飛び込みの客が多いわけではないので、あまり利用されなかったです」
――緊急事態宣言後、感染防止策はどうしましたか?
「各店舗10万くらいはかかっていますね。業者が入って消毒しています。基本的な感染予防対策をしっかり行い、各席のパーテーションの用意、座席も減らして壁寄りにして横並びにしました。全店舗半数に絞っています。なるべく対面ができる席を減らしました。」
実際に飲食店の従業員としてプロレスラーが働いているが、二度目となる緊急事態宣言の影響はいかなるものか。今回は、株式会社CyberFightの副社長であり、現役レスラーの彰人氏に話を伺った。
歌舞伎町から人の流れが消えた…緊急事態宣言後は売り上げ90%減
従業員はプロレスラー。試合に影響があるので出勤できない…
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出版社やWeb媒体の編集者を経て、フリーライターに。趣味はプロレス観戦。ライブハウスに通い続けて四半世紀以上。家族で音楽フェスに行くのが幸せ。X(旧Twitter):@rizeneration
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