更新日:2021年12月19日 08:11
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反論できない皇族をサンドバッグのように扱う人々の卑劣さ/倉山満

言論の自由はタダではない

 文明人の掟を説く。 皇室 言論の自由は誰にでも保障される。ただし、その権利を行使した瞬間に、反論されない特権を主張することは許されない。自由は、特に言論の自由は、タダではない。それを行使する資格がある者だけが行使できる。その資格の第一は、反撃される覚悟だ。人を傷つけることも含め言論は自由だが、同時に自分も反撃される覚悟を負わねばならない。安全地帯に居ながら他人を傷つける自由を認める文明国など、聞いたことが無い。  だから、反撃できない立場の人間に対し一方的に攻撃を加える者を、卑怯者と呼ぶ。わかりやすく言えば「人間のクズ」だ。

記者会見を開くたびにバッシングの勢いが増す秋篠宮殿下

 この意味において、我が日本は文明国であろうか。かつて日本は文明国だったはずだが、今は「人間のクズ」が増殖している。  痛ましい限りは、秋篠宮だ。秋篠宮家バッシングが始まって、3年。秋篠宮殿下が毎年11月末に記者会見をするたびに、バッシングの嵐は勢いを増す。最近は、度を越えた誹謗中傷も増えた。  言の葉に乗せるのも汚らわしいが、「○○殿下は××陛下の本当の子供ではない」とまで言いふらしている愚か者がいる。さすがにテレビや紙媒体ではありえないが、インターネットは無法地帯だ。この手の「証拠はあるのか?」の一言で終わるヨタ話が、「インフルエンサー」と呼ばれる少しでも影響力のある言論人によって拡散されれば、信じてしまう人も少なからずいる。

皇室をサンドバッグか何かと勘違いしているのか

 とにもかくにも、一切の反論が許されない立場の皇族に対し、人として卑怯な振る舞いをする「人間のクズ」がなんと多いことか。皇室をサンドバッグか何かと勘違いしている者たちに、如何なる理屈を説いても無意味であろう。いわば、性犯罪者に倫理や貞操の尊さを説くようなものか。むしろ、逆効果かもしれない。  人間には破壊衝動がある。聖なる存在が清らかであればあるほど、汚したいとの衝動を抑えきれない者は、人間社会には一定数いるのだ。  ならば文明の何たるかを知る日本国民は自覚しなければならない。

扇動者を社会の少数派に封じ込めればよい

 それにしても、最近の秋篠宮家バッシングは異常だ。「秋篠宮家は教育がなっていないから、悠仁殿下は即位を辞退する可能性がある。だから、今から愛子天皇が可能となる制度を用意すべきだ」とまで言い出す論者がいる。論理の飛躍が過ぎるが、そういう煽動に頼らねば目的を達せられないから無理攻めを仕掛けてきているのだろう。ならば冷静に捌けばいい。  そもそも、悠仁殿下がご無事に成長、即位、お世継ぎづくりをなされれば、日本の歴史はつながるのだ。別に「女性天皇と女系天皇」の違いなど日本国民の多数が分かる必要はない。扇動者を社会の少数派に封じ込めればよいだけだ。
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1973年、香川県生まれ。救国シンクタンク理事長兼所長。中央大学文学部史学科を卒業後、同大学院博士前期課程修了。在学中から’15年まで、国士舘大学日本政教研究所非常勤職員を務める。現在は、「倉山塾」塾長、ネット放送局「チャンネルくらら」などを主宰。著書に『13歳からの「くにまもり」』など多数。ベストセラー「嘘だらけシリーズ」の最新作『嘘だらけの日本古代史』(扶桑社新書)が発売中

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