更新日:2021年12月19日 08:11
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反論できない皇族をサンドバッグのように扱う人々の卑劣さ/倉山満

神武天皇は存在しなかったと証明するほうが難しい

 戦前に「皇室にまつわる神話をすべて信じよ」とした皇国史観が広まった反動で、戦後は「絶対に確実な事実以外は認めない」との姿勢が強まった。初代天皇の神武天皇などは「存在しなかった」と断定され、学界の通説となった。この立場では当然、『古事記』に書かれている「神武天皇は九州から東に向かい近畿に都を立てた」との「神武東征」は否定される。  だが、下の地図を見よ。地名が驚くほど類似している。九州の人が故郷の地名を、新たに住む地に付けたと考えるのが自然ではないか。
言論ストロングスタイル

比べてみると、たしかに①の近畿と②の九州北部で地名が酷似している。この類似性については、邪馬台国の東遷とみるか、そうではない形での東征とみるかで分かれるとのこと

 現代でも科学的な歴史学者は「神武天皇が絶対に存在したと証明するのは難しい。しかし存在しなかったと証明するのは、なお難しい」と思考する。

明確に否定できない限り事実であると看做すことが科学的態度だ

 欧米でも『聖書』に書かれた超常現象を事実だと断定する専門家はいないが、同時に明確に否定できない限り事実であると看做す。これが科学的態度だ。  我が国は神武天皇の伝説以来、一度も途切れることも無く歴史を続けてきた。これを事実だとの前提で考える方が科学的なのだ。  今の皇室への流言飛語と誹謗中傷は、病のようなものだ。予防と同時に対処も必要だ。いまさら戦前のように不敬罪は復活できまいが、何らかの制裁は必要だろう。
1973年、香川県生まれ。救国シンクタンク理事長兼所長。中央大学文学部史学科を卒業後、同大学院博士前期課程修了。在学中から’15年まで、国士舘大学日本政教研究所非常勤職員を務める。現在は、「倉山塾」塾長、ネット放送局「チャンネルくらら」などを主宰。著書に『13歳からの「くにまもり」』など多数。ベストセラー「嘘だらけシリーズ」の最新作『嘘だらけの日本古代史』(扶桑社新書)が発売中

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