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お気に入りの嬢に送ったラブLINEが上司に!?おっさんたちが傷を舐め合う“暴露トーク合戦”の行方は…

ossan2-2おっさんは二度死ぬ 2ndシーズン

おっさんたちのやべえ話

 AmazonやらFANZAを眺めているといつも感じることがある。そう、この2つのサイトに共通しているのはユーザーのレビューが存在するという点だ。最近ではあまり信用できない部分もあるらしいが、Amazonでなにかを買う時はレビューを参考に評価の高いものを購入したりする。  エロい動画などを購入できるFANZAにおいてはもっと重要で、僕は「人が評価しているエロ動画」に興奮する性癖を持っている。多くの人に評価されているエロ動画という一点のみが重要で、そこに女優の好みだとかプレイの内容はあまり関係がない。ああ、いまみんなに評価されているエロ動画をみている! と興奮する要素がある。だから僕にとってFANZAはAmazonよりもユーザーレビューの重要度が高い。  人は誰しも他者の評価が気になる生き物だ。それは自分に対する他者の評価に留まらず、自分が見ている対象においても他者の評価が気になるのだ。それが分かりやすく可視化されたのがネット時代におけるユーザーレビューとクチコミだろう。  それはそういった種類の評価だけに留まらない。現代においては、人の感情は他者との相対比較に左右される。分かりやすく説明すると情報の氾濫が他者との比較を色濃くしているのだ。  これまで、湯上りに発泡酒を飲めば幸せだったという個人的な感情も、SNSなどを通じて温泉宿なんかでもっとゴージャスに贅沢している人の情報を手に入れてしまうと、湯上り発泡酒が途端にしょぼく感じてしまう。こういった比較によって生じる感情が、さらにSNS等における自己顕示を加速させるのではないだろうか。早い話、インターネットという文明の利器を用いてみんな自慢合戦をしているのだ。それはあらゆるものを他者との比較でしか評価できないからだ。  しかし、それは悪い側面だけではない。そういった感情とは逆、例えば慰めの方向にこれらの比較の感情が働くことがある。 「やばい、とんでもないミスをしてしまったかも」  おっさんたちが集うライングループにあるおっさんからメッセージが書き込まれた。詳細を書くわけにはいかないのでぼかして書くと、仕事上のやり取りで数字を2桁ほど間違えてしまったらしい。それが時限爆弾のように蠢いていて、いつ爆発するかといった状態であることに気付いてしまったようなのだ。 「どうしたらいいんだ」

自分のやべえ話を告白するおっさんたち

 悲痛なるおっさんの叫びに呼応するかのように、他のおっさん仲間たちが声をかける。「爆発してからでは遅いのでその前に申し出るべき」というごもっともな意見から「爆発しない可能性もあるし気付かなかったふりでもいいのでは?」といった無責任な意見も目立った。そこでミスをしたおっさんが選んだ道はこうだった。 「お前らが経験したいまの俺よりヤバい状況の話をしてくれ」  現実逃避だ。  どうも、そういった爆弾の存在はいったん忘れ、自分が置かれている状況よりヤバい状況の話を聞いて安心することにしたらしい。実はこの感情はけっこう大切だ。  現実逃避しても爆弾の存在や彼が置かれている状況に関してはなにも改善されないが、そうやって「もっとヤバいヤツがいる」と安心することで、落ち着いて対処できる可能性がある。他者との比較による感情としてはとてもまっとうな使い方ではないかと考える。 「吉野家で牛丼をぜんぶ食ったあとに金がないことに気が付いた」  一人のおっさんが自分が経験したヤバい状況を書き込んだ。はっきり言って弱い。ぜんぜん弱い。バカにしてんのかと言いたくなるレベルで弱い。これではミスをしたおっさんが「これの何倍も俺はヤバい」と不安になってしまう。 「おれさ、通っているピンサロのオキニのウサちゃんとLINEしてんだけどさ」  別のおっさんが書き込みを始める。こいつはなかなか危険な匂いがする導入だ。強そう。期待できそう。 「毎朝さ、朝からトルネードクンニしたいニャ~ってLINE送るのが日課なんだけど、それを間違えて上司に送った」  とんでもなく強いのきたな。他のおっさんメンツも「血の気が引いた」「背筋に冷たいものが」「トルネードクンニってなんだよ」と書き込みが続いた。
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メガネを踏んづけて壊してしまった僕
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テキストサイト管理人。初代管理サイト「Numeri」で発表した悪質業者や援助交際女子高生と対峙する「対決シリーズ」が話題となり、以降さまざまな媒体に寄稿。発表する記事のほとんどで伝説的バズを生み出す。本連載と同名の処女作「おっさんは二度死ぬ」(扶桑社刊)が発売中。3月28日に、自身の文章術を綴った「文章で伝えるときにいちばん大切なものは、感情である 読みたくなる文章の書き方29の掟(アスコム)」が発売。twitter(@pato_numeri

pato「おっさんは二度死ぬ」

“全てのおっさんは、いつか二度死ぬ。それは避けようのないことだ"――


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