更新日:2013年03月31日 23:52
仕事

日本企業の問題点は「後輩が足らない」こと!?

「入社20年目にして新人扱い」「後輩が入ってこないせいでコピー、お茶くみから上司のiPhoneの設定までやらされる」「上がつかえていて係長にさえなれない。いつまで下っ端なのか将来が見えない……」etc. アラフォーサラリーマンなら誰しも少しは思い当たる節があるのではないだろうか。 ◆企業にも、働く人間にも、後輩不足は不幸しか生まない
高野秀敏氏

高野秀敏氏

 35歳で課長、45歳で部長――新人時代、描いていた「先」が見えないアラフォーサラリーマンが増えている。上の世代は掃いて捨てるほどいるのに、深刻な「後輩不足」で、出世が大幅に遅れているのだ。実際、SPA!が35~45歳のサラリーマン100人にアンケートを取ったところ、「後輩が足らない」と感じている人は66人に及んだ。日本企業の人口ピラミッドはどうなっているのか?  第一生命経済研究所の永濱利廣氏が言う。 「図()でわかるように、ここ10年の就業人口は、20代と30代が減っていて、40歳前後が増えています」 現実に、「後輩」の数は減っていた。やはり、「失われた20年」で新卒採用を抑えていたせいか? ※【図】ここ10年の就業人口ピラミッドの変化⇒
https://nikkan-spa.jp/?attachment_id=381373
ピラミッド

団塊世代がようやくいなくなったとはいえ、50代、60代の就業人口は20代、30代よりも圧倒的に多く、今後も増え続けていく

「現在40歳すぎの団塊ジュニア世代は、人口のボリュームゾーンであるにもかかわらず採用が控えられた就職氷河期世代。いまだ非正規雇用者も多く、『後輩を持つ』どころではない人も多いし、正社員の人も、後輩正社員が少ない状況に変わりはない。20代~30代前半世代の後輩は、人口減で母数そのものが減っているため、40歳前後が、いつまでたっても現場仕事に縛られる構造に陥っています」  確かに、今年40歳の’73年生まれは209万人もいるのに、28歳の’85年生まれは143万人、今春入社を控えた’90年生まれは121万人にまで減っている。人材紹介会社キープレイヤーズ代表の高野秀敏氏は、このように人口減の分だけ、「優秀な人の絶対数が減っている」のも、アラフォーが「後輩不足」を感じる要因と指摘する。 「企業で一番重宝されるのが、若さと経験のバランスがいい20代後半社員です。だが、ただでさえこの世代が少ないうえ、使える人間は会社を見限って転職してしまう。さすがに各社とも、このままでは社員の平均年齢が上がる一方だと、40代後半~50代のリストラを加速させる一方で、新卒採用を増やしていますが、戦力にならない新人が来てもアラフォーの負担が増えるだけ。せっかく数少ない後輩を得ても、負担が増すだけという悪循環になっています」 Q:Over35サラリーマンに聞いた後輩が足らないと思いますか? YES 66% NO 34% Q:後輩不足を感じる瞬間は? 1.現場仕事を抜け出せず、スキルが身につかない 2.雑用とマネジメントを両方やらされ過労状態 3.ただでさえ少ない後輩が使いものにならない 4.日々の雑用に圧迫され、メイン仕事の質が低下 5.いつまでも最若手で、出世が望めない 【高野秀敏氏】 転職斡旋を専門とするキープレイヤーズ代表。企業コンサルタント。大手人材派遣会社インテリジェンスを経て独立し、現在に至る 【永濱利廣氏】 第一生命経済研究所主席エコノミスト。近著に『スクリューフレーション・ショック』(朝日新聞出版)、『男性不況』(東洋経済新報社) ― サラリーマンを蝕む「後輩が足らない!」症候群【1】 ―
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