更新日:2014年04月21日 00:50
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消費増税でトドメ!? 苦境の「ゲーセン」どう生き残る?

消費税の増税を前に、多くのゲームセンターが閉店して話題になった。その理由を専門家や関係者に聞き、業界が生き残る道を探る。 ◆家庭用ゲームに押され、スマホゲームが追い打ちに  4月から実施された消費増税の影響により、多くのゲームセンターが3月末までに閉店した。業界大手のバンダイナムコホールディングスも、225店舗のうち、約20店舗のアミューズメント施設の閉鎖に踏み切った。もともとゲームセンターの売り上げが落ちてきたことに加えて、“増税後は年間10億円の負担増が想定されている”とし、不採算店を閉鎖して経営効率を上げるのが狙いだ。  ゲーム産業の研究を行う、芝浦工業大学システム理工学部准教授の小山友介氏は、「アーケードゲームの市場規模は、’06年の7029億円をピークに減少、’12年は4700億円まで減っています」と具体的な数字を示した。 ⇒【資料】はコチラ https://nikkan-spa.jp/?attachment_id=618317
ゲームセンター

売り上げも年々減少の傾向に! 日本アミューズメント産業が調査した、アミューズメント産業界のオペレーション売り上げ高より

「’06年にプレイステーション3とWiiが発売され、家庭用ゲームに押されました。自宅でも美麗な画面でオンライン対戦が遊べるようになり、もともとこの頃から減少の傾向にありました」  両ハードの影響を裏付けるように、家庭用ゲーム機の市場は’06年に1兆8264億円だったのに対し、’07年は3兆189億円と、大幅にアップしている。  このようにゲームセンターから徐々に客足が遠のいただけでなく、店の負担が以前より増したのも、経営を苦しめる。 「最近は筐体の価格が高騰していて、同じマシンを複数台購入しようとすると1000万円以上もするそうです。それに’02年の『麻雀格闘倶楽部』のヒット以降、ネットワーク通信が行えるゲームが主流になりました。ネットワーク通信を行うと通信費やアップデートにお金がかかり、お店の負担になります」  というのも、以前はゲームの基板を買い取るスタイルが主流で、基板分のお金を回収した後は店の儲けになっていた。しかし、ネットワーク通信を行うゲームは、稼働させ続ける限り、ゲームメーカーにお金を支払う必要がある。  さらに、ゲームセンター関係者のS氏は、「少なくなった客を取り合って、価格競争がさらに激化して厳しい」とため息をもらす。
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ゲームセンターのシャッターなどに張られた閉店のあいさつを見て、ツイッターなどのSNSでは、悲しみをあらわにする人もいた

「ウチの地域では、ラウンドワンが強敵。ラウンドワンが客を増やすために、アーケードゲームのプレイ料金を下げるから、ウチも対抗して下げざるを得ない。相手はボウリングとか、ほかの設備でお金を回収できればいいんでしょうけど、ウチはお客が増えただけで、売り上げはほとんど同じでした」  昨今ではスマホの影響もあり、ゲームスタイルも変わった。このような問題があった上で、消費税の増税がトドメになり、多くの店が閉店を選択するハメに。 「過去の増税のときと同じように、今年も実質的な対策は取りづらいと思います」とは、立命館大学先端総合学術研究科の川崎寧生氏。1プレイ=100円の意識が根強く、単純にプレイ料金を100円から108円に上げるというのが難しいのが現状だ。電子マネーの導入などもあるが、果たして客を取り戻す策はあるのか? ⇒【後編】「生き残りの鍵は“産業資産”の活用」に続く
https://nikkan-spa.jp/618305
【小山友介氏】 芝浦工業大学システム理工学部准教授。東京工業大学に勤めていたとき、経済シミュレーション研究に従事。ゲーム産業の研究も行う 【川崎寧生氏】 立命館大学先端総合学術研究科表象領域。ゲームセンターの社会的役割の分析など、研究を行っている ― 苦境の「ゲーセン」、どう生き残る?【1】 ―
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