痴漢がやめられない男。逮捕されても治らない「依存症者」の内面とは
季節はすっかり夏。開放的な気分になるからなのか、暑さに脳みそをヤラれて自制が効かなくなるのか知らないが、この時季になると増えるのが“痴漢”。当然ながら犯罪だ。彼らは犯罪とわかっていながらも、なぜ手を染めてしまうのだろうか……。
東京・新宿の喫茶店に現れたのは、背丈170センチほど、チノパンにポロシャツ姿の、どこからどうみても「普通」な装いをした派遣社員の男性・岩本さん(47歳・仮名)。語り口も普通で、びっしょりと汗をかき、約束の時間に5分遅れたことを必死に詫びるおじさんだが、実は前科複数の痴漢常習者なのだ。
『男が痴漢になる理由』の著者で、大森榎本クリニック精神保健福祉部長の斉藤章佳氏によると、痴漢は「性依存症」という病気の一種で、治療の必要があるという。岩本さん自身は病気だと気づいていないが、なぜ「痴漢依存症」になってしまったのだろうか?
「いけないことはわかっていますよ。でも無理なんです。夏なんか特に、女性はこう……露出がスゴいじゃないですか。満員電車なんかで隣になると、ニオイもするでしょう。もう、どうしても我慢できなくなって」
今から約25年前。大学卒業後、都内の商社に勤めて半年ほど経ったときだ。通勤のために利用していたJR埼京線内で痴漢して捕まったのが最初。隣り合った女性の腰に魅力を感じ、気づいたときには触っていた。悲鳴を上げた被害女性の横には、実はパートナー男性も同乗しており、男性からその場で取り押さえられ、次の駅で警察に引き渡された。
「男性がチンピラみたいなやつで。会社にも言わない代わりに示談金を50万寄こせと迫られ、泣く泣く支払ったんですよ」
どこか「他人事」のように語る岩本さんだが、その後も自分の「歴」について淡々と話す。
「埼京線は利用しない、と誓約書まで書いたので、その後は京浜東北線や宇都宮線、山手線を乗り継いで出社するハメになりました。面倒でしたよ、ほんと。んで、やっぱり魅力的な女性がいると触っちゃって。2度目、3度目も示談で済みましたが、4度目は鉄道警察隊の女性が一般人に成りすましていて、それを触っちゃった。問答無用で現行犯逮捕。駅で取り囲まれて恥ずかしいったらなくて……」
その後も懲りることなく痴漢を繰り返したという。あからさまに触れば「やられる(逮捕される)」からと、バレないように触ろうと、あの手この手を考えるようになった。
「ほら、手の甲でこうお尻をさすったり、電車は揺れるから、よろけたフリをすれば……」
その手口を饒舌に語る岩本さんを途中で制す筆者。もはや開き直り、反省の態度は1ミリも見せないが、それでもやはり逮捕されてしまう岩本さん。前述のように、電車内で手の甲を女性に対して執拗に押し付けていたところ、相手がまたもや女性警官だったのだ。要するに、完全にマークされていたのだ。
「逮捕され拘留もされましたが、刑務所にはいきませんでした。病気かもしれないということで病院にも通いましたが、原因はよくわかりません。仕事のストレス? あまり感じたことはありませんが、捕まるたびにクビになるので、もう派遣で仕事するくらいしかなくて」
幼少期などに特異な性的衝動を体験したわけでもないと語る岩本さん。もはや「無意識に触ってしまうとしか言いようがない」らしい。「やめられない」と言って、一応はうなだれてみせた。しかし、次に発したひと言に、すべての原因が透けて見えた。
「減るもんじゃないのにね」

痴漢がやめられない人の言い分と末路


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