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痴漢がやめられない男。逮捕されても治らない「依存症者」の内面とは

自分本位な考え方しかできない…

 岩本さんの思考には常に「自分」しかいない。自分がやりたかったから、自分がいいと思ったから、自分がつらい目にあった、自分が大変だった、などなど。  被害女性がどういう気持ちだったか、どれほどのショックを受けたのか、他者への気遣いといったものが完全に欠如してしまっているのだ。筆者に同行した女性記者がそう指摘すると、一瞬たじろいで見せるも、大きなため息をつくや否や、こう吐き捨てたのだった。 「他人の事なんて考えられないですよ。親からもそういう教育受けてないし、みんな大変で忙しいでしょ。私も自分の事しか考えられないし、生活も苦しいし。痴漢やめても、満員電車だし、体が触れることはあるだろうし、電車に乗らなきゃ仕事もできないし……宝くじでも当たればな」  痴漢で何度も逮捕され、示談金を支払い、職を失った岩本さん。もちろん、とうてい幸せな人生には思えないが、最後まで自分本位で悪いことはすべて「他人のせい」。  冒頭で触れた精神保健福祉士・斉藤章佳氏の研究によると、痴漢の原因は「性欲でなく支配欲」だという。 「自分自身がストレスフルだったり自暴自棄になっているとき、自分よりも弱い者を性暴力で支配したりいじめたりすることで自らの優位性を確認するという『痴漢パーソナリティ』」(女子SPA!2017.08.31)だという痴漢常習者。岩本さんに必要なのは、逮捕よりも治療かもしれない。 <取材・文/森原ドンタコス>
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