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任天堂『いつの間にテレビ』終了! で振り返る “いつの間にか終わっていた”ゲーム周辺サービス

 任天堂は11日、ニンテンドー3DS用サービス『いつの間にテレビ』を、6月20日をもって終了することを発表した。『いつの間にテレビ』はニンテンドー3DSだけで見られる3D映像などを、無料で配信するサービス。2011年6月21日の開始から、ちょうど1年でのサービス終了となる。先月4月30日にはWii向けにオリジナル番組などを配信していた『Wiiの間』も終了したばかり。ネット上では別れを惜しむ声や、オリジナル番組を評価する声が見られる一方、「ほとんど使ってなかった」「3DSでは『モンハン』しかやってないから関係ない」といった、サービスの存在感の希薄さを感じさせる声も散見された。  相次ぐサービス終了について、「スーパーファミコンの『サテラビュー』やニンテンドー64の『ランドネット』を思い出しますね」と語るのは元ゲーム開発会社のK氏(33歳・男性)。リアルタイムでゲーム業界の成長を見てきた団塊ジュニア、ファミコン直撃世代だ。  「ファミコン時代から様々なサービスがありましたが、定着したものはほとんどありません。次世代ハードの登場など時代の流れで消えたものもありますが、昔からゲーム関連のサービスにはどうも“ズレ”を感じます」とKさん。今までどのようなサービスがあったのだろう。改めて懐かしのゲーム関連サービスを振り返ってみよう。 ◆『ディスクシステム』書き換えサービス(1986年)・ファミコンで株取引『ファミコンホームトレード』(1988年)  「ファミコン時代から様々なサービスがありました。まず最初に思い出すのはファミコンの『ディスクシステム』書き換えサービスと『ディスクファックス』ですね。おもちゃ屋などの店頭に設置されたディスクライターで、内容を別のゲームに500円で書き換えたり、任天堂と通信してデータのやり取りなんかもできました。30代なら覚えている人も多いでしょう。  またファミコンで株が買える『ファミコンホームトレード』や、銀行取引ができる『ファミコンホームバンキング』なんてのもありました。当時は小学生なので実際にやったことはありませんが、通販限定だったり、回線工事が必要だったりと、始めるまでかなり面倒だったようですね。どちらも利用者の少ないサービスだったと思うので、当時使っていた人がいたらぜひ話を聞いてみたいです(笑)。ほかにも馬券の購入や『キャプテンシステム』への接続も可能でした。どれも時代の波に飲まれ消えてしまいましたが……」 ◆宇宙からゲームが降ってくる!未来を感じた衛星サービス『サテラビュー』(1995年) 「スーパーファミコン時代のサービスといえば衛星通信を使ってゲームや番組を配信する『サテラビュー』でしょう。宇宙からゲームが降ってくる!ということで、ついにゲームもここまできたか、とむやみに感動しましたね。タモリや爆笑問題、当時トップアイドルだった内田有紀といった豪華な番組出演者も話題になりました。  ただ本体に加えて1万8000円の衛星モデムと、まだ割高だったBS放送の受信機が必要なうえ、販売も通販と一部店舗のみなど、やはり始めるまでのハードルが高かった。その後、プレイステーションやセガサターン、いわゆる次世代機の登場もあり、スーパーファミコンの衰退と共にひっそりと終了していきましたが、ゲームと番組の連動、今で言う双方向コミュニケーションや、ゲーム体験版の配信や広告など、かなり革新的なシステムだったと思います」 ◆コンビニでファミカセを挿入?『ニンテンドーパワー』(1997年) 「ローソンでゲームを書き換える『ニンテンドーパワー』も過渡期って感じのサービスでしたね。専用の書換用カセットを、『ロッピー』の端末に差し込んで書き換えるんですが、今思うとコンビニにある機械に、スーパーファミコンのカセットを差し込む口がついてるのはやっぱりおかしい(笑)。すでに次世代機も出揃っていた時期でしたし、『バーチャルボーイ』でコケた直後ということもあり、当時も、ちょっとズレてるな、という印象は強かったですね」 ◆短命ハード『64DD』と1年で終わった『ランドネット』(2000年) 「2000年には『ランドネット』という、NINTENDO64と別売りのディスクドライブ『64DD』でネットができるサービスもありました。そのころはもうゲーム関連の会社で働いていましたが、私の周りでは全くと言っていいほど話題になりませんでしたね。今回聞かれるまでほとんど忘れていたくらいです(笑)。まず肝心の64DDがなかなか出なかった。そのうちPS2とドリームキャストが発売、同じ任天堂からもゲームキューブが発表されて、結局64DDが出る頃には、NINTENDO64自体が一世代前のハードという感じになってしまいました。逆に今、オークションなんかで64DDとランドネット接続キットにはコレクターアイテムとして良い値段がついていますね。同時期に携帯電話とゲームボーイを繋いで通信できる『モバイルアダプタGB』なんてのもありましたが、これも普及しませんでした」 ◆任天堂だけじゃない!セガとバンダイにも…… 「ほかにもセガのメガドライブには、ゲームをダイヤルアップ接続でダウンロードできる『メガモデム』と『ゲーム図書館』、銀行取引ができる『メガアンサー』(1990年)なんてのもありましたし、ドリームキャストでは『isao.net』(1998年)というプロバイダもやっていましたね。バンダイもアップルと共同開発で『ピピンアットマーク』(1996年)というモデム搭載のハードを発売しましたが、これも1年ちょっとで生産中止。どうもゲーム会社がネットサービスと絡むと、長続きしない印象です。何かジンクスでもあるのでしょうか……」  こうして改めて振り返ると、そういえばあったよね、という懐かしのサービスから、あまり知られずひっそりと終了したサービスまで、ゲーム業界が様々なトライをしてきたことがわかる。 「『Wiiの間』の終了は残念ですが、『いつの間にテレビ』は6月20日まで使えるようなので、記念に楽しんでおこうと思います。サービスが終ることでプレイできなくなる、見られなくなる、幻のコンテンツを楽しむ機会を逃したらゲームファンとして一生後悔しますから……」  やはりゲーム愛好家は、終了していくサービスに、特別な思いがあるようだ。携帯電話とソーシャルゲームが主流になりつつある今、ゲーム専用ハードはどう展開していくのだろうか。新しいサービスに期待しつつ、今後の動向にも注目していきたい。 <取材・文/日刊SPA!取材班>
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