女の本音があらわに! 鬼ごっこ婚活イベントへ行ってみた
3年ほど前の、世間が婚活婚活と騒いでいたのは一体なんだったのだろう。というくらい、もはや出尽くした感のある婚活だが、ある日、筆者のもとに見慣れぬタイプの婚活イベントの案内が届いた。件名は「鬼ごっこ婚活」。文字通り、独身男女でキャッキャウフフと鬼ごっこをして、親睦を深めましょう、といったイベントだ。意中の相手とスポーツをすると、スポーツでのドキドキと恋のドキドキを勘違いして、成功率が上がる、と小耳に挟んだことがある。それが正しいなら、鬼ごっこ婚活は理にかなっているのかもしれない。
主催は、虎ノ門のカフェで2~3か月に1回、テーマを決めた参加型パーティーを開催している『虎ノ婚事務局』。過去にはLEGOワークショップ婚活や、利きたこ焼き婚活を行ってきたらしい。そこへ今回は、各地での大会や企業研修で鬼ごっこの普及活動をする『鬼ごっこ協会』の協力のもと、鬼ごっこ婚活が実現したとのことだ。何でもかんでも“婚活”と言ってしまえばビジネスになるのか……とひねくれたことを思っていたら、どうやら虎ノ婚事務局はビジネス目的ではなく、単なる有志ボランティア団体のよう。それゆえ、婚活にしては参加費も3000円と安め。
会場へ着くと、鬼ごっこをできるとはとても思えない小さなカフェの一部を使って準備運動が始まった。スーツを着た会社帰りの大人たちがクッシンやシンキャク。ここが婚活の場だとはとても思えない光景である。
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そして、まずは鬼ごっこ講師の森下貴司さんの指導のもとに、2人ペアでできる手繋ぎ鬼が始まった。男女ペアで向かい合って手を繋ぎ、繋ぎ相手の背中をタッチ。背中を触られないようにグルグル逃げ回り、キャーキャーという悲鳴が響き渡る。鬼ごっこって、合法的にセクハラできる遊びなんだな……。
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筆者も実際にやってみたのだが、勝ち負けのかかる勝負となると、つい本気になってしまい、明らかに相手の男性は唖然としていた。
ダメだ。このままでは、どう考えてもモテない。曲がりなりにもこれは“婚活”イベント。狙うべきは異性なのに、勝ちを狙ってどうする。
次にやったのは、「猫とネズミ」。まずは、猫役をひとり、ネズミ役をひとり決める。そして、残りは全員で手を繋いで輪になり、猫役が輪の真ん中に、ネズミ役は輪の外にスタンバイ。猫役がネズミ役を追いかけるのだが、輪になっている人たちは、猫が輪をくぐるときは通せんぼ、ネズミは通してあげる、というルールとなっている。
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ここでも、やってしまった。筆者は猫役をやったのだが、ネズミ役の男性を本気で追いかけ、瞬殺。どよめく会場、ガッツポーズで喜ぶ私。たぶん、婚活としての効果はゼロ。
その後も、「ハンカチおとし」や「だるまさんがころんだ」などのおなじみの遊びを含め、いくつかの鬼ごっこ系レクリエーションをやったのだが、この鬼ごっこ婚活、思った以上におそろしいイベントであった。たかが鬼ごっこ、されど鬼ごっこ、やり始めると理性で考える余裕がなくなるため、相当性格が出る。なりふり構わず勝ちたい気持ちが先走ってしまった筆者自身は言わずもがな、そのほかにも、最初の「ペア手繋ぎ鬼」では遠慮がちだったものの、徐々に本性が出始めて熱が入ってきた人も何人か見かけた。
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帰り際、筆者には連絡先の交換を申し出る人がひとりもいなかったのは言うまでもない。逆に言えば、普通の婚活や合コンで、女性の猫かぶりに騙されている男性は、こういった性格の出る婚活ならば失敗は少ないのかもしれない。
<取材・文/朝井麻由美 撮影/林健太>
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