42歳で大手企業を辞めて鉄道運転士に!「年収は半減したが、毎日が楽しい」
8/7発売の週刊SPA!「40歳で会社を辞めた男たち」特集では、38〜45歳の間に転身した男性200人アンケート他、武石さんのような転身者12人を密着取材した。果たして、40歳転身は「幸福な選択」なのか? <文/週刊SPA!編集部>
今年7月、千葉県のいすみ鉄道で運転士デビューを果たした武石和行さん。以前は大手通信系システム会社の情報セキュリティ部門で働いていたが、2年前の春、いすみ鉄道が社会人を対象に運転士訓練生を募集している記事を偶然見つけたことで運命が変わる。
「最初はどこにある鉄道会社かもわからなかった(苦笑)。でも、昔から憧れ、就職したことで一度は諦めたはずの運転士への夢を抑えきれなくなってしまったんです」
ちなみに応募要項には「訓練費用700万円の自己負担」との条件が。赤字経営が続くいすみ鉄道に運転士を育成する財政的余裕はなく、運転士になりたい人の夢を手助けし、会社にとっても経営再生にも一役買うユニークな制度として当時話題にもなっていた。
もちろん、簡単に出せる額ではないが、「独身でしたし、700万円払っても貯金が底尽きるわけではなかった。自己負担や金額の部分で悩むことはありませんでした」と応募を決意。それでもいくら長年の夢とはいえ、40歳を過ぎてこの決断は勇気が要るはず。
「実は、鉄道のことを専門的に学ぶ高校に通っていて、卒業したら国鉄の運転士になるつもりだったんです。しかし、ちょうど分割民営化のタイミングと重なってしまい、運転士が募集されなかったんです。だから、このチャンスを逃すと次がないと思ったんです」
ただし、会社は当初辞めるつもりはなかったという。
「資格取得後は嘱託の運転士として週1日以上の乗務という話だったので、兼業可能だと考えていました。けど、会社の許可が下りず、退職を決断しました。これで何がなんでも運転士の資格を取らなければいけなくなり、訓練生時代はとにかく大変でした(苦笑)」
訓練生は武石さんを含めて4人で、いずれも40~50代の転職組。列車の運転に欠かせない動力車操縦士免許の学科試験はクリアできたが技能試験では全員苦戦。3度目の挑戦で見事合格を果たした。
「訓練は月の半分ほど。当時は時給制でした。そのため、10万円程度の収入が続き、貯金を切り崩して生活費に充てていました」
一人前の運転士となった7月からは給与制になったが前職に比べるとおよそ半分に。それでも「もちろん満足です」と胸を張る。
「今は運転士として人の命を預かり、定時に運行しなければいけないという責任を日々強く感じています。ただ、一方で必死だった訓練生時代には味わえなかった充実感もあり、毎日が楽しいです」
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