100万部突破のラノベ編集者に聞く、大ヒットの戦略
―[30歳からのラノベ入門]―
一昔前に比べるとその勢いはやや落ち着いたものの、2000年代に急成長を遂げたライトノベル市場。「オタク向け」などという考えを改めねばならないほどのメガヒットを生み出している。もはや現代人の新たな教養になるかもしれない、ラノベの今を追った!
◆ヒット作品が育つまで…「織田信奈の野望」の場合
シリーズ累計100万部を突破した大ヒット作『織田信奈の野望』。その担当編集者である上林達也氏に、ヒット作に育った過程について聞いてみた。
「内容に関して言えば、本作は武将が美少女となっていたりと軽い感じですが、史実はかなり意識しています。原作の春日みかげ先生と私で、実際の城跡や古戦場に足を運んで取材したり、歴史書を調べて深みを持たせるようにしたんです。第1巻を企画した当時は歴史ブームで、売れるかもしれないという戦略があったので、そのためにも戦国時代の書き方に関してはこだわったつもりです」
ラノベの肝となるイラストも、小道具に家紋をあしらうなどして、みやま零氏が細部まで工夫を凝らしている。
「初めてメインキャラのイラストを見た瞬間、私とみかげ先生は、コレだ!と確信したのを覚えています」
以降、本作の企画からアニメなどのメディア展開に至るまで、すべてに関わっている上林氏。
「1巻が出てすぐくらいから、ドラマCDの話をいただき、その後にコミカライズの話もあり、本当に驚きの連続でした。’12年7月より、『織田信奈の野望』のアニメが放送される前後の反響は、さらに凄かった。アニメ化となるとグッズ展開が増え、多くの企業から依頼を頂戴して、その対応も大変になりました。最終的には、ソーシャルゲームになるなど、大きな広がりを見せたのが嬉しかったです」
一度ヒットすれば、2次3次的に広がる可能性を秘めたラノベ。多くの人が夢を見るのも思わず納得……なのであった。
【設定】
ラノベにとって生命線となるキャラクターは、春日みかげ氏の原稿をもとに、みやま零氏がデザインをする。写真は主人公・織田信奈の初期設定資料
⇒【写真】https://nikkan-spa.jp/374735/bk3_130129_20


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