ソニーのVAIO「思い出の名機」を偲ぶ
今年の7月にPC事業の売却が決定しているソニー。2014年春モデルをもって、「ソニーのVAIO」は姿を消すことになる。哀悼を込めて、時代を切り開いてきたVAIOの名機を振り返ってみたい。
「’97年にデビューしたVAIOですが、その人気を決定づけた『伝説のモデル』は’98年~’00年あたりに集中していますね」と話すのは、ITジャーナリストの本田雅一氏。なかでも、「強く印象に残っている」と本田氏が言うのは、次の2機種だ。
◆VAIO PCG-C1(’98年)
超コンパクトな本体に、当時としては新しかったWebカメラを搭載。
「事務機器にすぎなかった従来のパソコンを『パーソナルな情報ツール』に昇華し、カルト的な人気を誇ったモデル。そのコンセプトは今のスマホにも通じるものがあります。『とにかく薄いのが正義』だったノートPCのデザインに、『厚みはあるけどコンパクト』という概念を持ち込んだ点も画期的。『ハンドバッグに入れて持ち歩きたい』という女性ユーザーの獲得に大きく貢献しました」(本田氏)
◆VAIO GT(’00年)
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光学10倍ズームのビデオカメラを搭載したミニノート。
「『パーキャスTV』というネットサービスと連動しており、撮影した映像をネットにアップロードして共有することができた。アップロードされた動画には、リアルタイムでコメントを入れることも可能……つまり、今で言う『ニコ動』を15年近く前にやっていたわけです。ヒットはしなかったものの、未来のネットコミュニケーションの形を示唆していたという点で、記憶されるべきモデル」(本田氏)
もう少し最近の機種では、文庫本サイズの本体にノートPCの機能を詰め込んだ「VAIO type U」(’06年)も忘れがたい。これも、今のスマホやタブレットを先取りしたような製品であった。
「type Uは、外でも見やすいようにシャープの特殊な液晶を使っていたのですが、そのために調達価格が上がってしまい、あまり儲からなかったのです。それゆえに、大ヒットしたにもかかわらず、初代で製造中止になってしまったのが惜しまれますね」(本田氏)
VAIOブランドが世に問うてきた「普通のPCではないユニークな製品」の数々は、後の世代のスタンダートとなった。改めて、その先見性に敬意を表すと同時に、新会社の下でも魅力的な製品を提示し続けてくれることを、願ってやまない。 <取材・文/琵琶子>
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