憧れの「ギブソン」倒産寸前! ギターはもうオワコンなのか?
レスポールやフライングVなどのモデルで人気を博し、ロックの歴史を築いてきたギターメーカーのギブソン。故チャック・ベリーやジミー・ペイジなどのレジェンドをはじめ、奥田民生や松本孝弘(B’z)らも愛用する超一流ブランドだが、いま倒産の危機に直面しているのだ。
だが、これはギブソン社に限った問題ではない。ライバルのフェンダー社も多額の負債に苦しんでいるし、ポール・リード・スミス社はスタッフを削減し、よりニーズのある安価なギターの生産にシフトチェンジしている。
これが意味するのは、ロックならびにギター音楽の市場がかつてないほどに縮小しているということだろう。英エコノミスト紙が運営するサイト『1843』の「Is this the end of the rock guitar?」によると、昨年の全米アルバム売上ベスト100のうち、ギター中心の作品は18しかなかったという。
時代の主流はR&Bやヒップホップ、EDMなのである。「ギターは終わったのかもしれない」と語ったエリック・クラプトンや「私はジミ・ヘンドリックスに憧れたものだが、ギターのヒーローは、もういないんだ」と嘆いたポール・マッカートニーの言うとおり。
つまり音楽シーンの変化に対応できなかったこともギブソン衰退の一因なのである。たとえば看板商品のレスポールをプロモーションする際、彼らがイメージするのはスラッシュ(ガンズ・アンド・ローゼズのギタリスト)だ。ブルース由来のスタイルと、いかにもロックスターといった出で立ち。そうしたイメージとセットでギターを売るのである。
しかし、残念ながら現代は彼のようなアイコンを求めていない。名手のソロ演奏ではなく、彩り豊かなサウンドで楽曲のテクスチャーを操るツール。それが現代におけるギターの位置づけなのだ。
ヴィジュアル面でも、タイトでシックな服を着こなすアーティストが好まれる。スラッシュとは対照的な清潔感やスマートさが重視されていると言えるだろう。
こうして様々な面からユーザーとのズレを埋められず500億円もの負債を抱え込んでしまった。ギターを神格化したことで柔軟性を失ったがゆえの八方塞がりだと言えるだろう。
原因は膨れ上がった借金。負債総額は日本円にして500億円超とも言われ、そのうち約400億円の返済期限は今夏に迫っている。そのためギブソン社は事業のスリム化を断行。メンフィス工場の売却や、八重洲のショールーム閉鎖もその一環と見られる。
「ギターは終わったのかもしれない」とクラプトン
昔のロック野郎に、いま誰が憧れるだろうか
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