中国がバブル崩壊しないのは「中国人持ち前の脳天気さ」にあり
中華人民毒報】
行くのはコワいけど覗き見したい――驚愕情報を現地から即出し1980年、愛媛県生まれ。上智大学経済学部卒。ニューヨーク市立大学中退後、中国に渡り、医療や知的財産権関連の社会問題を中心に現地取材を行う。2008年に帰国後は、週刊誌や月刊誌などに寄稿しながら、「国家の政策や国際的事象が末端の生活者やアングラ社会に与える影響」をテーマに地道な取材活動を行っている。2016年に他に先駆けて『週刊SPA!』誌上で問題提起した「外国人による公的医療保険の悪用問題」は国会でも議論の対象となり、健康保険法等の改正につながった。著書に『中国「猛毒食品」に殺される』(扶桑社刊)など。最新刊『ルポ 新型コロナ詐欺 ~経済対策200兆円に巣食う正体~』(扶桑社刊)発売
中国経済に関して、日本を含む世界のメディアが「風前の灯」「断末魔」といった枕詞を添えるようになって久しい。’14年9月の新築住宅価格は、前年同月比で1.3%のマイナスとなり2年ぶりの下落を記録。9~10月の新車販売台数の伸び率も、前年同期比でそれぞれ2%にとどまるなど、経済指標では明るい話題は見当たらない。
しかし、中国経済は意外なほどしぶとく生き長らえている印象もある。崩壊を免れているのは、「中国人持ち前の脳天気さによるもの」という指摘も。
大連市のIT企業経営・川副満彦さん(仮名・41歳)は話す。
「あれほど問題視された理財商品にも変わらず人が群がっているし、最新スマホなど、欲しいものは借金してでも買うという人が多い。よく言われる、『自宅を売って理財を買う』というのは実話ですよ。経済の先行きにまったく危機意識がないんです。日本人のような国民性だったら、とっくに破綻している状況でしょうね」
広州市近郊に住む貿易業・田中俊政さん(仮名・49歳)の話からは、景気の良さすら伝わってくる。
「贅沢禁止令や反腐敗運動などもあり4、5年前に話題になった『富裕層の爆買い』は減りましたが、中間層の購買意欲が増している。コーヒー1杯が平均時給の2倍以上するスターバックスや、中国では高価なファストファッションのお店もいつも大混雑です。タクシーを捕まえるのも日に日に難しくなっているし、日常生活では景気後退は感じられない」
ネットサービス大手・騰訊は今年第一四半期に最高益を記録。米MSが中国で’14年9月に発売した「Xbox One」は、発売1週間ですでに10万台を完売した。無印良品を展開する良品計画や育児用品のピジョンなども中国で好調をキープしており、中間層をターゲットとしたビジネスには、活況を呈しているものも少なくない。
そんな中国を「安定成長期に入った」とするのはT・Sチャイナ・リサーチ代表で中国経済に詳しい田代尚樹氏だ。
「海外メディアは、中国経済について『失速』などと盛んに報じますが、7%前後の成長率は、ほかの新興国と比べてもまだまだかなりの高成長。これまでの急成長と比べれば停滞しているように見えますが、ここ数年の過剰な不動産投資や設備投資が健全化してきた証拠。反腐敗運動を見ても、習近平政権を揺るがす要素はなく、今後の経済面でのガバナンスにも期待が持てます」
一方、中国在住のジャーナリスト・吉井透氏は、「’15年から景気が上向く可能性もある」と指摘。
「改革開放が始まったときに働き盛りだった世代が、そろそろ平均寿命を迎える。彼らは現在の中国で初めて住宅を購入した世代で、その住宅は都市部ではかなりの価値になっている。彼らの遺産が下の代に相続されることで、消費拡大にもプラスになるでしょう。中国には相続税がないですしね。また、’14年11月に行った利下げは、本格的な金融緩和の幕開けで、年明けにも再度、利下げされるのではないかという見方もある。憶測にすぎませんが、希望的観測が広まれば、本当に景気が浮揚するのが中国経済なのです」
中国バブルはまだまだ膨らむ!? <取材・文/奥窪優木>
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