「ラグビーってホントめちゃめちゃ痛いんです」女子日本代表“サクラセブンズ”主将・中村知春選手
ラグビーW杯でのジャパンの大躍進により、昨年来、空前のラグビーブームが起こっている。だが、ラグビーをやっているのはなにも男子選手だけではない。現在、にわかに注目を集めているのが、7人制(セブンズ)ラグビー女子日本代表、通称“サクラセブンズ”だ。
今夏のリオ五輪から正式種目となる7人制ラグビーでは、男子とともに、その女子も出場する。昨年11月のアジア予選ではフィジカルで上回るカザフスタンや中国に対し、日本は走って、走って走り勝った。そんな“サクラセブンズ”を支える主将の中村知春選手、FWリーダーの冨田真紀子選手、京都大学文学部卒の頭脳派、竹内亜弥選手の「社会人組」に日々の思いを聞いた。
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――ラグビーといえば男がやるスポーツ、かつてはそんな常識さえあった。加えて、’09年にはリオ五輪からの正式種目入りが決まっていたものの、その事実すら世間に知られることはなく“ラガール”は長く日陰の道を歩んできた。
中村:私はまだラグビーを始めて5年くらい。でも、ラグビーって今でこそ五輪の競技と認識されていますけど、少し前までは「女子もやるの?」って感じでした。マスコミにも「今からでも代表になれるスポーツ」なんて書かれ、複雑な気分になったことも……。
冨田:自信を持ってラグビーをやっています、と言えないような時期もありました。五輪を狙っている他競技の選手にしたら「ラグビーって何?」みたいな雰囲気も。美容院に行って「何かスポーツやってるんですか?」と聞かれても、「バスケを……」とごまかしたり。
竹内:(日焼けで)真っ黒なのに! 今でこそ「仕事しながらラグビーをやっています」と言えますが、それはごく最近のことなんです。
――ラグビーほど激しくぶつかり合うスポーツはなく、女性だけに顔に傷でも負ったらと心配になってしまうが……。
冨田:ケガはもう、たくさん。右ひざの前十字じん帯断裂に、アゴの陥没骨折。ラグビーをやってる限りは勲章みたいなものです(笑)。
竹内:私は鼻を3回と目を1回、骨折しています。でも、数週間で治るし、十字じん帯を切った人の前では大ケガなんて言えないです。
中村:鼻は痛いでしょ?
竹内:パキって音はしたんだけど、試合中はまったく折れたことに気づかなかった。あとでチームメートに「曲がってますよ」って言われて、慌てて試合後にトイレの鏡で確認したら完全に曲がってて。
冨田:鈍感すぎる!
竹内:大変だったのは鼻のギプス。鼻の中にガーゼをたくさん詰めて、固いプラスチックをテープでバッテンにとめるだけ。当時は営業職だったのですが、あまりにギョッとする見た目に上司から「外回りはいいから」と言われて内勤をしていたら、電話も変な声になってしまい、呆れられて(笑)。しかも、相手にタックルされて折れたわけではなく、味方のサポートに入ったら、仲間のひじがガツーン!と入ってしまったという……。
中村:あるんですよ! 味方で削り合うことが(笑)。
竹内:予期していないぶん、大ケガになっちゃうんですよね。
中村:ラグビーってホントめちゃめちゃ痛いんですよ。だから、信頼関係がないとできません。もともとバスケをやっていましたけど、バスケは仲が悪くてもできる(笑)。
取材・文/栗原正夫 撮影/佐野美樹 再構成/SPA!編集部
― 7人制ラグビー女子日本代表[サクラセブンズ]の素顔 ―
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痛い思いをするからこそ信頼関係がないとできない
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