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あれです…ポケモン…――連続投資小説「おかねのかみさま」

翌週 渋谷区桜丘 アリファンカンパニー 「あー今日も働きすぎちゃったな。監査法人も帰ったし。みんな仕事してるから遊んでくれるひともいないし。カミサマでも誘って繰り出しちゃおうかなー」 ガチャリンコ 「社長、ちょっとおはなしが」 「ん?なに?」 「ちょっとこちらの画面をご覧頂きたいんですが、昨日からアリンコファンタジーのDAUが40%落ちてます」 「え!!!」 「DAUッテナニ?」 「デイリーアクティブユーザーのことですよ。一日でウチのゲームを遊んでくれる人の数で、課金するヤツの割合は一定だから売上に直結した数値ですっていうか誰?」 「ガミチャンデス」 「あれ?こないだ?あれ?銀座にいなかった?」 「ソウソウ。ハイオミヤゲ」 「あ、たちばなのかりんとう」 「ママサンカラデス」 「ありがたくいただきます」 「ジー…」 「あ、開けましょうか?」 「ウェーイ!!!」 「ちょっとまっててくださいね。つーかなんで急に40%もDAUおちてんのよ?なんかした?」 「社長…あれです…ポケモン…」 「ぽけ…あーーーーーーーーーあれか。マジか。え、どうすんのよじゃあ。午前中に証券会社に言っといた来期の数字とかクリアできないじゃん。どーすんのこれ?」 「詫び砂糖とかバラ撒きましょうか?あとは、SSRアリンコの出現率をいじるとか、時間帯限定でガチャ回数を増やすとか…」 「でもさ、それって効果あるんだっけ?いままでそれやってどうだった?」 「効果ありました」 「じゃ、全部やって。できることぜんぶ。いまのタイミングで数字が変わるのはヤバイ。予定が狂っちゃう。つーか全部やり直しになる」 「わかりました」 「ポリポリ…」 「……」 「ゲンキダシテ…」 「ありがとう…一本いただきます…」 「ドウゾ」 「あなた…お名前は?」 「ニガミデス。ガミチャンッテヨバレテマス」 「そうか、ガミちゃん、いま聞いたことは誰にも話しちゃだめだよ」 「カシコマリマシタ」 「こんにちはー」 「あ!かみさま!」 「なんとなく来ちゃいました」 「いやほんと、マジで、すごいタイミングに来てくださいました。たいへんなんです。少し先の不幸にゆっくりと吸い込まれていくような、意識はしっかりとしてるのに、死ぬことが決まっている沼に沈んでいくような…」 「まぁ、会社やってるといろいろありますからね。そちらの方は?」 「銀座のお店のニガミさんです」 「ガミチャンデス」 「そうですか。はじめまして」 次号へつづく 【大川弘一(おおかわ・こういち)】 1970年、埼玉県生まれ。経営コンサルタント、ポーカープレイヤー。株式会社まぐまぐ創業者。慶応義塾大学商学部を中退後、酒販コンサルチェーンKLCで学び95年に独立。97年に株式会社まぐまぐを設立後、メールマガジンの配信事業を行う。99年に設立した子会社は日本最短記録(364日)で上場したが、その後10年間あらゆる地雷を踏んづける。 Twitterアカウント https://twitter.com/daiokawa 2011年創刊メルマガ《頻繁》 http://www.mag2.com/m/0001289496.html 「大井戸塾」 http://hilltop.academy/ 井戸実氏とともに運営している起業塾 〈イラスト/松原ひろみ〉
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