「今夜、君に恋に落ちてしまいそうだぜ」――46歳のバツイチおじさんはクサすぎるセリフをさらりと口走った〈第32話〉
俺「ケリーはどんな記事を書いてるの?」
ケリー「私は、今、インドの若者の結婚に対する新しい価値観について調べてるの」
俺「具体的には?」
ケリー「インドの結婚は古くから家同士が決めるじゃない。これは結構有名な話だけど、でも、最近は都市部で自由恋愛が流行ってるの。それでね、古い世代の価値観と新しい世代の価値観がぶつかってロミオとジュリエットみたいなお話が多いのよ」
俺「へぇ・・・。そっか、カースト制度もあるから障害が多そうだね」
ケリー「うん。カーストはインドの大きな問題点よね」
その昔、インドではカースト制度によって生まれつき階級を分けられ、職業や結婚などもこの制度の影響を受けていた。現在、公には廃止されているが、ヒンドゥー教徒が大多数を占めるインド社会にはこの影響は根強く残っている。
俺「カーストが違うもの同士は結婚できないの?」
ケリー「一概には言えないけど、まだまだそういう家は多いわね」
そうして、俺はつたない英語でケリーとインド人の結婚観について話し合った。
しかし、インド人の結婚はカースト制度の影響やヒンドゥー教など宗教が密接に関係していて、結婚どころか恋に落ちることさえもなかなか難しいことを悟った。
「インド人女性と日本人男性が恋に落ちると、いろいろ大変そうだなぁ」
そうして二人でランチを食べながらお互いの仕事内容について長時間盛り上がった。
ケリーはマスコミの人間らしく、時折スマホでニュースをチェックしていた。すると、彼女は急遽立ち上がり、こう言った。
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