シャッフルされた長編ドラマ=アテテュード――フミ斎藤のプロレス講座別冊WWEヒストリー第237回(1996年編)
1990年代後半のアメリカ(カナダを含む)でPPV=契約式有料放映プログラミングが受信可能だった世帯数は約2600万世帯とされ、1997年にはWWE、WCW、ECWの3団体とUFCが合計39大会のPPVをプロデュース。“有料放映”とその市場の拡大がプロレス経済を根底から変えてしまったのもこの時代だった。
12.15“イン・ユア・ハウス12イッツ・タイム”のラインナップは①フラッシュ・ファンク(2・コールド・スコーピオ)対リーフ・キャシディ(アル・スノー)②オーエン・ハート&デイビーボーイ・スミス対ディーゼル(グレン・ジェイコブス)&レーザー・ラモン(リック・ボーグナー)のWWE世界タッグ選手権③ハンター・ハースト・ヘルムスリー対マーク・メロのインターコンチネンタル選手権④アンダーテイカー対ジ・エクスキューショナー(テリー・ゴーディ)⑤サイコ・セッド対ブレット・ハートのWWE世界ヘビー級選手権の全5試合。
これ以外にショーン・マイケルズ対マンカインド(ミック・フォーリー)、“ストーンコールド”スティーブ・オースチン対ゴールダスト、ロッキー・メイビア対サルバトーレ・シンシア他、シングルマッチ4試合がPPV放映ワクではないダーク・マッチとしておこなわれた。ストーンコールド、ロック、M・フォーリーらはこの時点ではまだ“中堅”のポジションだった。
メインイベントのセッド対ブレットのWWE世界戦には前王者ショーンがゲスト解説者としてリングサイドの実況ブースに座り、セッド、ブレット、ショーンズの3人による心理的なかけひきと番外戦の乱闘がこの試合のゆくえを決定づけた。
「ブレット・ハートはWWEでいちばん傲慢で不愉快な人間」
「サイコ・セッドは“経費”がかかり、運ぶのにたいへんなお荷物」
コメンテーターとして実況ブースに陣どったショーンは、ヒールのセリフとも本音ともとれる微妙なコメントでこの試合を批評した。
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