ビンス・マクマホンが“世界征服”に成功した日――フミ斎藤のプロレス講座別冊WWEヒストリー第336回(2001年編)【完結】
3.26“ナイトロ”パナマシティー・リゾート大会をもって“ナイトロ”は突然の最終回を迎えた。1995年9月から5年6カ月にわたりつづいてきた“月曜TVウォーズ”はじつにあっけなくその幕を下ろした。
第1試合の開始直前、スーツ姿のリック・フレアーがリングに上がり「ビンス・マクマホンはわれわれをコントロールすることはできない。WCWはグレート・カンパニー」とコメントし、アンチWWEの立場を明らかにした。
TVマッチ第1試合にはWCW世界ヘビー級王者スコット・スタイナー対USヘビー級王者ブッカーTのダブル・タイトルマッチがラインナップされ、十八番ブックエンドでスタイナーを下したブッカーTが“世界最高峰NWA”の流れをくむふたつのヘビー級王座を統一した。
ブッカーTがこの日、腰に巻いたフレアー・モデルの黄金のチャンピオンベルトはその後、“世界ヘビー級王座”としてWWEのリングで復活することになる。
メインイベントではフレアーとスティングが“最後の一騎打ち”をおこない、かつてのドル箱カードはスティングがスコーピオン・デスロックでフレアーからギブアップ勝ちを奪った。
試合終了後、ふたりがリングのまんなかで抱き合ったシーンがWCWのジ・エンドThe Endだった。
メインイベント終了後、シェーン・マクマホンがリングに上がり「WCWとの契約書にサインをしたのはこのわたし。WCW新オーナーはマクマホン。そう、シェーン・マクマホン」とコメントすると、巨大スクリーンのなかでビンスは「WCWは解散。ゴミ箱に捨てる」とこれに応じた。
メジャー団体WCWの消滅という歴史的事件は、いつのまにか父ビンスと息子シェーンの“親子の断絶ドラマ”に化けていた。
ビンスとシェーンの対立というシチュエーションはもちろんWWEソープオペラのワンシーン。アメリカのレスリング・ビジネスは、ついにWWEによるモノポリー体制となったのである。
番組のエンディングでは“マンデー・ナイトロ”のロゴのすぐ下に「グッドナイト・アンド・グッドバイGOOD NIGHT AND GOODBYE」という文字が大きく画面に映し出された――。(おわり)
☆『フミ斎藤のプロレス講座別冊WWEヒストリー』は今回をもって終了となります。長いあいだ、ご愛読ありがとうございました。GW明けの5/8からは新連載コラム『フミ斎藤のプロレス読本』がスタートします。どうぞお楽しみに――by 斎藤文彦
文/斎藤文彦 イラスト/おはつ
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斎藤文彦
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