男性作家が描く濡れ場はたいてい腹が立つ(峰)
「羽田さんの描く濡れ場には嫌みがない」(峰)
峰:私も羽田さんの『成功者K』を読みました。すごくおもしろかったです! 特に、濡れ場にイヤミがないからすごいなあと思って。私、日本人の男性作家が描く濡れ場を読んでいると、たいていの場合は腹が立ってくるんですよ。
羽田:なんでですか?
峰:「こんなにカッコよく書きやがって!」みたいな。その点、羽田さんはぜんぜんカッコつけて書いていないのがいい。主人公の作家がファンの女の子とヤリまくるくだりの中に、「このマンコには何をしても許される」っていう一文が出てくるんですけど、小説に「まんこ」「ちんこ」っていう言葉が出てくるのって珍しいなと。
羽田:僕、そんなこと書いてました!?(慌てて該当ページを確かめる)……うわ、ほんとだ、自分でも覚えていないくらいナチュラルに書いてますね(笑)。
峰:たいていの作家さんは、モロに書こうとしてもせいぜい「ヴァギナ」止まりというか。特に日本の男性作家さんがカタカナで「マンコ」って言い切るのってかなり珍しいと思う。実は『アラサーちゃん』の最初の単行本を出すとき、「まんこ」「ちんこ」の表記をそのまま載せるかどうかで編集会議が開かれたんですよ。しかも会議の議題なのに、みんなそのワード自体を口にできない状態で。「女性のほうの名称はNGが出るかもしれません」的な。
羽田:そのシチュエーションすごく面白いですね……。
峰:私自身は、みんなが自然に「まんこ」「ちんこ」と言える社会のほうが健全なのではないかと思っているので、「絶対に伏字にしないでください」って強く主張しました。最近は女性の間でもハードルが下がってきたとは思うんですけどね。こだまさんの話題作『
夫のちんぽが入らない』も素直に受け入れられているし。それなのに、例えば女性誌のセックス特集が出ると、男の人のほうが「この記事は過激すぎる」っていうクレームを入れることがあるって聞いて、ちょっと意外だな、と。
「みんな空気ってものを過剰に読みすぎてる」(羽田)
羽田:そういえば僕も以前、『不思議の国のペニス』っていうタイトルの作品を書いたんですけど、文庫化の際に『不思議の国の男子』に変えられてしまったのを思い出しました。
峰:なんでわざわざ隠すんだろう?
羽田:例えば、某テレビ局の場合、放送禁止用語のコードなんてものは実在しないらしいんです。結局、なんとなくの現場判断でNGにしてるだけらしくて。みんな空気ってものを過剰に読みすぎてる部分はあるのかもしれない。
峰:あと不思議なのが、ファンとヤる・ヤラない問題。男性作家は特にそこで分かれますよね。たとえヤッててもみんな隠したがる。
羽田:そんな話を作家同士でしたことがないからわからないですけどね(笑)。
峰:マンガ家にもいるんですよ。「俺はこんなに有名で年収も高くてファンもいっぱいいるのに、どうしてモテないんだ?」とか言ってる人。そのたびに「いや、ファンとやればいいじゃん!」って思うんですけど。だから羽田さんがこの本の中で堂々と書いてくれてうれしいです♡
羽田:いや、なんかもう実際の話ってことになっちゃってますけど……かといって「あれはフィクションです」なんて保身のために言っても、ゲスな好奇心で『成功者K』を読んでもらえなくなるし……。まあ、家でギャラの請求書を書いたりするシーンを中心に、全体の6割ぐらいは本当、ってことで。
峰:ラジオの後、LINEのアドレス交換したの覚えてます? あの後、順調にやりとりしていたら今頃私も作中のマンコのひとりに数えられていたかと思うと……。
羽田:いやいやいやいや!
峰:おそろしい……(笑)。ちなみに羽田さんに会ったときの第一印象は「ちんこデカそう」だったんですよ。実際、この作品の主人公のちんこもデカいって書いてあったので、「やった!当たった!」って思って。
羽田:「当たった!」って……(笑)。いや、小説はあくまでギャグですけどね。ヤバいやつが、自分で自分のチンコをデカいと言っている、という。客観的に見て本当にデカいのかどうかは怪しい。
峰:じゃあ実際はどうなんですか?
羽田:まあ背の順と同じですね。僕、子供の頃からずっと後ろから二番めくらいなんですけど、それくらいというか。身長に比例しているとしか言えない。ほかの男のチンコなんて勃起している状態で見ないですから。
峰:うーん、それ以上にデカそうな何かを感じたんですよね。私、第一印象で、どういう大きさでどういうプレイが好きなのか当てるのが好きなんです。
羽田:僕、どんなのが好きそうだって思われてたんですか?
峰:えー、もう小説読んじゃったからなあ。とりあえず、二回とか三回とかするのは元気だなと思いました。
羽田:えっ、それって普通じゃないんですか?
峰:30ぐらいになってくると、あんまり連続二回とかはしないですよ。
羽田:そりゃ長く付き合ってるとそんなことないかもしれないけれど、会って間もない人とかだったら……。
峰:会って間もない人にいきなり二回とか要求されたらむしろビックリしますけどね(笑)。
羽田:言われてみれば確かに……。