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芥川賞で注目「障害者の性」。東大卒代表が語る、“性欲を満たす射精介助”現場のリアル

 第169回芥川賞の受賞作『ハンチバック』(文藝春秋)では、主人公である重度障害者の女性の性的な欲求が赤裸々に描かれている。本書を読んで、障害者の性に対して、いかに無知であったかを深く考えさせられた人も多いのではないだろうか。
ホワイトハンズ

ホワイトハンズ代表を務める坂爪真吾氏

 手足が不自由なゆえに、自慰行為を行ったり、パートナーとセックスできない人たちは、普段どのように性と向き合い、性的な欲求を満たしているのだろうか。性の問題を「個人の問題」ではなく「社会の問題」として捉え、男性重度身体障害者に対して射精介助サービスを提供しているのが「ホワイトハンズ」だ。  同団体は、2008年に設立されてから15年にわたって射精介助サービスを提供している。東京大学文学部卒で、ホワイトハンズ代表を務める坂爪真吾氏は、どういった経緯で射精介助サービス事業を始めたのか。ケアスタッフはどのような思いを持ってサービスを提供しているのか。射精介助の現場の声をお届けする。

性風俗業は社会課題の密集地

「大学時代に性風俗業を研究し、新宿や池袋の店舗型風俗店で働いている方々の動機や事情をヒアリングしました。その中で、性風俗業は社会課題が集まっている世界だと感じたのです。差別や病気、暴力、借金、依存など……。それにもかかわらず、世間では『風俗=エロ』と見られ、社会の光が当たっていないように思いました。  性風俗のサービスをエロや娯楽ではなく、社会課題に貢献するかたちで提供できれば、困っている人たちを支援できるのではないかと。そこで考えついたのが、身体に障害がある人に“ケア”として提供する射精介助サービスです」  これまでに北海道から九州までの国内各地で累計800回以上のケアを実施。以前は、ホワイトハンズがケアスタッフを採用し、研修を経て派遣していた。しかし、コロナ禍で対面での面接や研修が困難になり、現在は提供者と利用者をマッチングする形式で射精介助サービスを提供している。利用者はネットの検索やYouTube動画で同サービスを知って依頼する人が多いという。

意外にも利用者の大半は40代以上

 2008年にサービスを開始した際、坂爪氏は性的な欲求の高まる20代の若い男性からの依頼が多いのでは……と考えていた。しかし、利用者の大半は40代以上の男性だった。 「若年層の障害のある方は親と同居しているため、サービスを依頼しづらい。親の高齢化や死去に伴い、親元から離れて自立生活を開始するのが40代ぐらいなので、ようやく自分の意思で自宅にケアスタッフを呼べるようになったというケースが多いように思います。大半は独身の方ですが、一部には既婚の方もいますし、まれに、奥さんが承知の上で依頼される方もいます」
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「ケア」を超えた要望には線引きを
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