「小橋建太の青春おすそわけ」――“鉄人”と呼ばれた元プロレスラー・小橋建太が、現役レスラーをゲストに招いてトークを繰り広げる。悩めるレスラーたちに、小橋は果たしてどんな“青春”をおすそわけするのか？ 　第2回のゲストは、全日本プロレス人気復活の立役者・宮原健斗。8月27日、両国国技館大会で石川修司を下して三冠ヘビー級王者に返り咲き、「最高ですか？」の決め台詞そのままに、最高っぷりを世間に見せつけた。今回は元三冠王者の小橋が、若きエースに王者の心得を伝授する。 小橋建太（以下、小橋）：石川選手は宮原君より一回り上だ。一回り上のライバルって、いいよなあ。俺もハンセンとは18違うんだけど、俺の中ではライバルだった。「スタン・ハンセン最後のライバル」って言ってたんだよ。 宮原健斗（以下、宮原）：最強タッグで、小橋さん＆秋山（準）さんvs田上（明）さん＆ハンセンさんっていう試合がありましたよね。日本武道館の決勝戦。秋山さんがトップロープからハンセンさんの後頭部にジャンピングニーを決めて、小橋さんが側頭部にライアット！　あれがすごく興奮しましたね。確か、ハンセンさんが暴れたんですよね。緊張感がすごかったです。 小橋：99年か。馬場さんが亡くなった年だ。あの試合終わったときさ、表彰式で……。 宮原：ハンセンさんが小橋さんを襲ったんですよね？ 小橋：普通、盾で殴りかかってくるかあ？　木じゃないからね、陶器だから。金具のところでぶん殴ってきたんだよ。あのときハンセン、50歳くらいかな。宮原君がトロフィーもらってるところを、俺が盾でどつきにいくようなもんだよ。 宮原：大人げないですね（笑）。やっぱり主役でいたいんでしょうね。 小橋：でもその、大人げないっていうのが、ハンセンの魅力なんだよな。大人げないから、年齢が離れててもがむしゃらにやり合えた。ハンセンとは何回か時間切れ引き分けがあったんだけど、体力がなくなってもラッシュをかけてくるんだよ。若い人間に対しても、やってやるぞっていう思いがあったんだろうね。こっちは体力あるからガンガンいくんだけど、最後まで負けない気持ちがハンセンにはあって、すごく面白かった。 宮原：僕、小学校3年生のとき、博多スターレーンの小橋さんvsハンセンさんの試合、観に行ったんですよ。試合後にロビーでハンセンさんと写真を撮ってもらったんですけど、タオルを巻いて眼鏡かけてて、シャワー上がりのおじいちゃんみたいな（笑）。少年だったので、ショックでした。 小橋：近眼だから、眼鏡かけてるんだよ。 宮原：近眼なんですか？　だから眼鏡かけてたんだ。 小橋：ド近眼だよ。ハンセン＆天龍（源一郎）vsジャンボ鶴田＆小橋健太でやったときに、俺を掴んでコーナーの天龍さんにタッチしにいったんだけど、近眼だから天龍さんかジャンボさんか、どっちか分かんなくて、反対コーナーのジャンボさんにタッチしにいったんだよ。近づいたら、「あ、間違えた」っていう顔して。恥ずかしかったんだろうね、俺をボコボコにしたんだよ。 宮原：アハハハハ！　そうするしかないですね。 小橋：自分が間違えたんだよ？　なのに、俺をボコボコにしてさ。 宮原：とんでもない奴だなあ！