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王貞治の「一本足打法」は現代でも通用するのか? 習得できなかった男・駒田徳広の証言から読み解く

 “世界のホームラン王”王貞治の代名詞といえば「一本足打法」。荒川博打撃コーチと二人三脚で完成させたこの打法で、彼は868本ものホームランを放った。しかし、現代のプロ野球界を見回すと王のような一本足打法を取り入れた打者がいなくなって久しい。そもそも王はなぜ、一本足打法でホームランを量産できたのか? 一本足打法は現代でも通用する打法なのか? ドラフト直前に、一本足打法に関わりの深い男たちの証言から、一本足打法を読み解いていく。

あの1年があったから、2000本を達成できた
―― 駒田徳広 ――


駒田徳広氏

’84年キャンプ、王監督、荒川コーチが見つめるなか一本足打法に取り組む駒田徳広氏

 門田博光、片平晋作、大豊泰昭と言葉は違えど皆がその“難しさ”を口にする一本足打法。だが彼らは自らの意思でこの打法を貫き、プロの世界で結果を残した。一方、過去には一本足打法に挑戦するも断念せざるを得なかった選手がいるのも事実。’00年に2000本安打を達成した駒田徳広もその一人だ。長距離打者として期待された駒田は、王監督、王とともに一本足打法を完成させた荒川博コーチの下この打法に挑戦するも、わずか1年で断念している。

「僕はプロ入り4年目の’84年、一本足打法を習得しようと王さんの師である荒川博さんのもとに弟子入りし、練習したことがありました。しかし、結局ものにはできませんでした。それは一本足で完全に立った状態を維持できなかったのが最大の要因です。王さんにはそれができたということです」(『駒田徳広―問いただす“間違いだらけ”の打撃指導』(ベースボール・マガジン社刊)より)

 そこからレギュラー定着にはさらに3年の月日を要した駒田。だが、引退後には一本足打法に挑戦した一年をこう振り返っている。

「あの’84年からの一年間があったから、最終的な僕のバッティング理論を形作れたんだと思います。その後、いろんな人から『一本足に挑戦していなかったら、オマエはもっと早くレギュラーになれていた』って言われるんですけど、僕は違うと思う。あの経験があったから、僕は2000本までいけたんだと思っています」(『プロ野球、伝説の表と裏』(主婦の友社刊)より)

王が生み出した一本足打法は現代の野球界でも通用するのか?


 そう語る駒田は、自身が習得できなかったものの「一本足打法は現代でも通用する理想の打ち方」だと前出の自著に記している。

中田翔(日本ハム)

投手の投球動作とシンクロするという一本足打法のメソッドは、今もなお多くの打者に受け継がれている。写真は中田翔(日本ハム)

秋山翔吾(西武)

秋山翔吾(西武)

坂本勇人(巨人)

坂本勇人(巨人)

「野球界にバッティング革命を起こしたのは他ならぬ王さんの一本足打法です。21世紀になってトレーニングの専門家がバッティングのメカニズムを研究し、いろいろな理論が出始めてきましたが、僕が正論だと思ったことのほとんどは王さんの一本足打法によって、すでに証明されていると思いました。言い換えれば、21世紀になっても通用する打ち方を、王さんは’60年代から自分のバッティングとして実践されていたんです」

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一本足は現代でも通用するのか?

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