年収1000万円超でも「劣等感しかありません」 港区おじさんの憂鬱
厚生労働省「平成28年賃金構造基本統計調査」から算出すると、40代会社員の年収上位10%は943万円以上。このゾーンにはどんな格差があるのか、覗いてみた。
「大学の友人と比べたら、恵まれてると思います。ただ、僕のいる階層では劣等感しかありません」
平均年収でも貯金がある人はどうか。4歳と7歳の2児の父である関勝之さん(仮名・47歳・年収550万円)は5年前、一代で会社を築いた父の遺産を相続。税引き後の金額は7000万円だった。’15年に野村総合研究所が行った「純金融資産調査」によれば、金融資産5000万円以上は上位7.9%に分類される準富裕層だ。
「学生時代から『小遣いはバイトで稼げ』が口癖の父ですから、これまで金銭的な援助を受けたことはなく、妻も承知していました。が、降ってわいたような大金に人が変わってしまったのです」
「もっと家のことと子供の教育に力を入れたい」と妻は勝手に会社を退職し、毎日のように不動産サイトをチェックしてはプレゼン。音を上げた関さんは、世田谷の新興住宅地にある戸建て住宅を、5000万円現金一括で購入した。
「場所柄、専業主婦が多くて私立中学への進学率は8割近い。僕だけの年収じゃ確実に赤字なのに、『家があるから平気』と取り合いません。ご近所は大企業のサラリーマンばかりで、それに合わせてランチやテニスサークルなど浪費も凄い。昔は質素で働き者のいい女性だったんですけどね……」
アメリカの研究機関が発表した「収入と貯金の幸福度」を表した資料によると年収660万円以上からは幸福度があまり上がっておらず、意外と「お金がもたらす心の安寧」は限定的なのだ。やみくもに上を目指すよりも、中流維持に心血を注ぐことが、格差拡大の現代社会においては最善なのかもしれない。<取材・文/週刊SPA!編集部>
※週刊SPA!1月2・9日合併号「中流崩壊の現実」より
そう語るのは大手広告代理店に勤め、年収1200万円を稼ぐ水谷敏夫さん(仮名・41歳)。白金台の高級タワーマンションに住み、週末には六本木、西麻布で丸の内OLやモデル女子との合コンに明け暮れる、絵に描いたような“港区おじさん”だ。
「可処分所得が月50万円を超えると、欲しいものはほぼ我慢せずに手に入れることができます。ただ、僕が足を運ぶ場所にはベンチャー社長やら外銀(外資系投資銀行)で年収3000万円稼ぐ奴とか、労働意欲を根こそぎ奪うようなモンスターがゴロゴロいます。会話は車、時計、マイル、そして愛人の話がメイン。負けじと張り合って年会費15万円のダイナースのカードを持ちましたが、合コン後に強制参加の“お会計カードシャッフル”で負けて80万円近く支払ったときには、作り笑顔を崩さないようにするので精いっぱいでした」
高年収でも貯金はほぼゼロ。他の社長連中は既婚子持ちだが、水谷さんは「結婚したらこの階級で一緒に遊べない」と独身を貫く。クラスタの中で最も低収入の人間が最も不幸という格差の好例だ。
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