更新日:2022年12月10日 18:42
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自衛隊の官舎などの土地が外国人に買われても止められない現実

 例えば、アメリカ軍は基地内に家族と住める軍人専用の広大な住宅を持っています。基地の近くに住む人もいますが、かなりの人数が家族とともに住めるようになっています。  なぜ家族も一緒に住んでいるのかは簡単です。いざというときに家族が人質にとられたり危害を加えられたりして軍人が脅迫されたりしないようにということと、家族のことが心配で戦闘に身が入らないという状況を防ぐためです。テロなどを扱ったハリウッド映画でも、軍人や政治家の家族が人質にとられるストーリー展開は王道です。米軍は最初からそういった問題を排除できるように基地内に家族を住まわせているのです。  しかし、我が国では安全保障より国のコスト削減のほうが重大な問題と考えられているようで、目先のコスト削減が優先されてしまっています。  公務員の住宅削減計画は、防衛省だけではなく全国家公務員住宅を削減しようというものです。廃止対象となった官舎の土地は次々と速やかに売却されていきます。自衛隊関連施設の場合、土地がどんどん減っているために、弾薬以外の武器や災害救助に使うものなどは建物の上層階に置くことが増えていると聞いています。しかも、エレベーターを設置するコストを削減するために自衛隊の建物は基本的に5階以下に抑えられています。  つまり、咄嗟には使えず、重いものを搬出する時でも階段を使って人力で運ばないといけないことが多くなっているのです。非常時にはたくさんの物品を持って出動しなければならないのに、人力・手作業で運びこむ基地が増えれば当然、初動の動きは遅くなります。コスト削減は初動を遅らせるということに気づく人はさほどいなかったのでしょう。今となっては後の祭りですが。  外国人による基地周辺の土地の取得や秘密漏洩の危険を想定せず、災害時、有事の初動体制が確実に遅れる危険があるにもかかわらず、国家予算削減計画で土地がどんどん売却されている事実にどれほどの人が気づいているでしょうか? 自衛隊の土地だけではないのですが、日本の多くの場所で外国人による日本の土地の買い占め・爆買いが進んでいます。国境の島・対馬の自衛隊施設のすぐそばの土地が、韓国資本に買収されている話は有名ですが、それも氷山の一角です。政治にモノを言えない自衛隊は指をくわえてその土地が売られていくのを悔しく見ているしかないのです。土地の売買規制を設けることも必要ですが、防衛省の持つ官舎を次々と廃止し土地を売り払う危険と愚かしさに一刻も早く気づいてほしいと切に願います。<文/小笠原理恵>
おがさわら・りえ◎国防ジャーナリスト、自衛官守る会代表。著書に『自衛隊員は基地のトイレットペーパーを「自腹」で買う』(扶桑社新書)。『月刊Hanada』『正論』『WiLL』『夕刊フジ』等にも寄稿する。雅号・静苑。@riekabot


自衛隊員は基地のトイレットペーパーを「自腹」で買う

日本の安全保障を担う自衛隊員が、理不尽な環境で日々の激務に耐え忍んでいる……

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