更新日:2020年12月24日 23:23
ニュース

大反響ベストセラー小林よしのり『コロナ論』が投げかけた問い

「同調圧力」という名の見えない空気

小林よしのり氏の新作『ゴーマニズム宣言SPECIAL コロナ論』(扶桑社刊)。発売直後、ツイッター上には「書店を何軒も回ったのに手に入らなかった」といった声もあがっていた

ゴーマニズム宣言SPECIAL コロナ論』が大きな反響を巻き起こしている。8月20日に発売されるや即重版が決定。わずか1か月余りで4刷り6万部を超えるベストセラーとなっているのだ。  季節性インフルエンザによる死者は1年間でおよそ3000人。「間接死」も含めると毎年1万人もの人が亡くなっている。これに対して、新型コロナウイルスによる感染症の死者は9月23日時点で1500人弱。それにもかかわらず、なぜ日本人はこれほどまでにコロナに恐怖心を抱くようになったのか……?  そんな数字をめぐるシンプルな疑問が本書の出発点となっている。  著者は『ゴーマニズム宣言SPECIAL 戦争論』(1998年・幻冬舎刊)をはじめ、これまで数多くの論考を発表し、その度に激しい論争を巻き起こしてきた小林よしのり氏。一連のオウム真理教事件においては、作品のなかで教団批判を繰り返していた小林氏自身が「テロ」の標的とされるなど、命の危険を顧みず自らの信念を貫く作家というイメージが強いかもしれなれないが、『コロナ論』を読むと、著者が時間をかけて一次資料をくまなく当たり、アカデミックな知見に基づいたファクトを一つ一つ丁寧に積み重ねていく姿が見て取れるのだ。
小林よしのり

小林よしのり氏

 小林氏は今回のパニックを、政治家と専門家、そして、メディアによって作り上げられた「インフォデミック」だと繰り返し訴えている。作品のなかでは、時に「コロナはインフルエンザ以下の珍コロ」といった挑発的な言い回しを使って政府の対応を批判しているが、真に言いたいことは、経済は二の次で、一分一秒でも長く生きることが大事だという主張がまかり通っていることへの憤りだ。つつましやかに生きる市井の人々は生きるために経済行為をしているのに、それをカネ儲けやエゴのためにやっていると決めつけ、政府と専門家とメディアが結託して法的根拠も覚束ない自粛を強要。彼らが「コロナ怖い全体主義」の空気を蔓延させたことで、今も「同調圧力」という名の見えない空気が日本中を厚く覆っていると指弾している。

「コロナ脳」に洗脳された人に読んでもらいたい

 そんな小林氏の描いたコロナ禍の日本を読者はどう読んだのか? 発売わずか1か月余りで異例とも言える500枚近くの「愛読者カード」が編集部に届いたが、そこにびっしりと書き連ねてある感想を読むと、まずはその熱量の大きさに驚かされる。 「新型コロナが“日本では”それほど脅威ではないことがわかる一冊。その一方で、今後新たに出てくる感染症に対しての覚悟問われているような気がしました。この本を一人でも多くの人に読んでもらいたい。特に、必要以上に過敏になっている『コロナ脳』に洗脳された人たちに読んでもらいたい」(匿名希望 37歳男性 会社員) 「私の家族は今もコロナを怖がっているので、本書を読ませて正しい知識を身につけてもらいたいと思っています」(草刈貴裕 44歳男性 会社員)  ツイッター上には、一個人で『コロナ論』を21冊購入し知人に配っているという書き込みもあったが、複数冊買って家族など周囲の人間に奨めているという声も少なからずあった。
次のページ
いつの時代も強い「個」を持った人はひと握り
1
2
3
ゴーマニズム宣言SPECIAL コロナ論2

専門家とメディアが作り上げたインフォデミックによって我々は「1億総強迫神経症」になってしまった――。予約段階で重版が決定し、前作と合わせて累計10万部の問題作。宮沢孝幸氏へのロングインタビューも収録

ゴーマニズム宣言SPECIAL コロナ論

見掛け倒しの緊急事態宣言で経済を殺した政治家と専門家、そしてメディアを断罪する!!
おすすめ記事