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孤独な男と、孤独な男の、魂のぶつかり合い『真説・佐山サトル』に見る男のドラマ

 前田にUWF時代のことを聞くと、「自分は月100万円貰っていた。だから佐山さんは300万円か500万円貰っていたはず。なのにUWFの社員が困っているとき、一銭も出そうとしなかった」と憤ったという。そのことを聞いた佐山は、「(そんな風に思われているとは知らなかったから)ひっくり返りそうになった。僕も100万円でしたよ」と苦笑いする。佐山がスーパータイガージムで大金を手にしていたという話も、事実とは異なっていた。佐山は大金を手にするどころか、1億円以上の借金を負ったのだ。「そういうことを言わないところも、カッコいいと思う」と田崎氏は言う。 「佐山さんって、自分のことを話さない人なんですよね。柔術の中井勇樹さんが失明したとき、佐山さんはヒクソン(・グレイシー)に会いに行って『中井をよろしく頼む』と頼んでいるんですよ。でもそんな話は聞いたことがないし、中井さん自身もたぶん知らない。柔術を広めたのは中井さんなので、いまの柔術があるのは実は佐山さんのお陰なんですよ」  そして、「佐山さんは、二重のマスクを被っている」と指摘すると、佐山はこう話した。 「僕はみなさんがタイガーマスクに夢を持ってくれていることもよく分かっているし、自分がタイガーマスクであることを自覚しなければいけないということもよく分かっている。けれど、タイガーマスクである自分と、本来の自分はまったく違うんです。その真実を明らかにしてくれたのが、田崎さんです。感謝しかありません」  佐山サトルは、孤独な人であると思う。そして田崎氏もまた、孤独を抱えているのではないかと思う。そうでなければ、これだけ取材対象者と真正面から向き合うことはできない。文章を書くということは、魂を削るということだ。 2年半に及ぶ長期連載であったにも関わらず、プライベートで食事に行くことはなかったという。しかし二人の間には、お互いを理解し、尊敬し合う男たちの、神聖な空気が流れていた。 <取材・文/尾崎ムギ子>
尾崎ムギ子/ライター、編集者。リクルート、編集プロダクションを経て、フリー。2015年1月、“飯伏幸太vsヨシヒコ戦”の動画をきっかけにプロレスにのめり込む。初代タイガーマスクこと佐山サトルを応援する「佐山女子会(@sayama_joshi)」発起人。Twitter:@ozaki_mugiko
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真説・佐山サトル タイガーマスクと呼ばれた男

“孤高の虎”の真実が今、明かされる!

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