ニュース

富田林の逃走犯はどんな変装をして逃げたのか? プロの探偵に聞いた変装法を試してみた

 大阪の富田林署から逃走した樋田淳也容疑者。8月12日の夜に逃走後、その足取りはいまだ掴めていない。最近では一般人によって300万円の懸賞金がかけられるなど、まだまだ注目が集まるこの事件は、容疑者逃走からまもなく一ヶ月が経過する。当初、樋田容疑者が変装をして逃走しているという報道が相次ぎ、大阪府警が変装を想定した似顔絵を数パターン公開。刑務所から帽子を盗んで逃走した可能性や、女装をして逃走をしている可能性も報道された。
樋田淳也容疑者

大阪府警HPより

 ここまで逃走が長引いている背景にはこの「変装」が関係しているのだろうか?そう気になった我々は「変装のプロ」とも言える探偵に取材を敢行。変装のイロハを取材し、記者が実際にいくつかの変装を試してみた。

変装の極意は「いかに印象を変えるか」

帽子とサングラス

画像出典:photoAC

 変装をする。我々一般人からすると、そんな機会はなかなか訪れないだろう。変装と言えば「帽子」に「サングラス」に「マスク」などの完全防備。そんなイメージをする人が多いのではないだろうか? しかし、変装のプロでもある探偵は、実際にそこまで大がかりな変装をすることはあまりないとのこと。今回取材にご協力いただいたのは、浮気・不倫調査で多くの実績を持ち、全国に数多くの支社を持つ「HAL探偵社」。代表取締役の浅見俊祐氏は次のように話す。 「よほど特徴のある顔は別ですが、まず顔だけで相手の印象に残ることは少ないです。プロが街中でやる変装は主に服装。例えば、最初に赤いTシャツを着て街を歩きます。そうすると、顔ではなく赤いTシャツのほうが人の印象に残る場合が多い。赤いTシャツから黒い服に着替えるだけで、ほとんど同一人物とは把握されないでしょう。色の濃い服から地味な服に変えるだけで効果はあります」  なるほど。確かに派手な色の服装はイメージに残りやすい。派手な服装から地味な服装へチェンジするだけで印象を変えることができるのは肯ける話である。 「プロがやる変装の基本はとにかくその場に溶け込むことです。例えば、多くの人がごった返す繁華街では帽子を被りメガネでも掛ければ、自然と街に溶け込む。こうなるといくら逃走犯だからと言ってそう簡単に気付かれることはないでしょう。たがこれがオフィス街だとどうか? あまりにラフな格好では目立って人々の印象に残る可能性が格段に高くなります。そんな場所ではスーツにメガネのようなシンプルな変装に変える。プロの探偵は、TPOに合わせたシンプルな変装を心がけています」

過度な変装をしている可能性も

変装

画像出典:photoAC

 TPOに合わせたシンプルな変装。これがもっとも効果的な変装であることが分かった。だが逃走犯ともなると、必ずしもシンプルな変装をしているとは限らない。 「これだけメディアに自分の顔が出ている状況では、顔で印象に残る場合もあります。ましては逃走犯。当然、通常の心理状態ではないでしょう。街に溶け込むという発想ではなく、隠れるという発想になりがちです。多くの人が集まる繁華街ではなく、人の少ない場所に潜む。隠そうという意識から、変装も過度なものになる可能性もありますね」  一連の報道には、女装をして逃走中との情報もある。樋田容疑者の身長は163cmと小柄。女装には打ってつけの体格だと筆者は感じる。しかし浅見氏はこう話す。 「小柄とはいえ、まず男性と女性では骨格が大きく違います。女性の場合、たとえ体の大きい方でも丸みがありますが、男性にはそれがない。そして、一番の違いは立ち振る舞いです。男性と女性では歩き方や歩く速度、しぐさなどが全然違います。たとえ完璧な女装をしたところでも、人間の癖はそう簡単に変えられません。立ち振る舞いで違和感が残るのは間違いないでしょう。また男性が女装をする場合、スカートやワンピースなど、男性が着るには違和感のあるものをチョイスすることが多い。本物の女性になりきるなら細めのスキニーパンツなどを履くほうが効果的ですが、スカートなどの過度な変装をしていた場合、違和感丸出しのはずです」
次のページ right-delta
実際に変装を試してみた
1
2
3
おすすめ記事
ハッシュタグ