突然、父がネトウヨに…スマホで右傾化する高齢者たち
そんな父からAさんにこんなメールが先日届いたという。
「テレビ局は泉放送制作という在日の会社が牛耳っているんだろ? そういうことをなぜ記者として取材しないのか?」
2年以上も前にネットで話題になったデマの話を今ごろされ、開いた口が塞がらなかったという。
「私の父は商社勤務だったので、海外勤務も経験していました。だからこそ、外国人を差別するような発言をしたことがショックでたまらなかった」
会社員のBさんは、70歳になる元商社マンの父親がネトウヨになってしまったことがショックでならないと話す。
「実家に遊びにいったときに、娘が保育園で仲のいい韓国の子の話をしたんですよ。そしたら『待機児童がいるのに、韓国人は入れるのか? あいつらは特権があるから優先的に入れるんだ。このままいくと日本は在日に乗っ取られるぞ』って言いだしたんです」
驚いたBさんが「そんなのは嘘だ」と言うと、父親はスマホを出して「在日特権」という言葉を検索して見せたという。これにBさんの妻は大きなショックを受け、
「しばらく義父さんには会いたくない」と言いだす始末。父親がネトウヨになったきっかけも、Aさんの父親同様、本の影響だったとBさんは推測する。
「過激なタイトルのヘイト本を地元の本屋で買うのは抵抗があるみたいなんですが、スマホだと誰にも見られないじゃないですか。中学生がこそこそエロ本を買うのと同じですよ。娘がオヤジのスマホでYouTubeを見ようとしたら、ネトウヨ動画がズラっと出てきて、頭がクラクラしました」
孫とビデオ通話したい一心でスマホを持つようになったBさんの父親。Bさんは持たせなきゃよかったと、後悔しているという。記者はそんなBさんの父親に話を聞くことができた。まず、在日外国人の何がいけないのかを聞いた。
「私は中国や東南アジアの紡績工場を担当していたけど、すぐにサボるし手を抜く。そういう連中が日本にたくさん来るということは、日本人の勤勉さを削いで日本をダメにするじゃないか。あいつらは働かないけどカネを欲しがるから、悪いこともする。だから私は移民なんかには反対なんだ」
だが、差別するような言動はよくないのでは……と記者が言うと、Bさんの父親はさらにまくし立てるように話し始めた。
「これまでは配慮して、本当のことをあなた方マスコミは伝えてこなかったじゃないか。でも今はインターネットで言えなかったことをハッキリ言えるようになったでしょう。間違ったことに間違ってると言うのが差別か!」
老いてなお盛ん……。加速する高齢化社会において、ネトウヨ化する高齢者たちの暴走も加速しそうである。
「自分は一体、何をやらかしてしまったのか」
北周士弁護士は、身に覚えのない大量の懲戒請求書が届いた今年4月の心境を振り返る。
発端は、朝鮮学校への補助金交付に賛成したとの事実無根のデマが広がり、まず佐々木亮弁護士が懲戒請求を受けたこと。これをSNS上で擁護したことで、北弁護士も標的にされてしまったのだ。
「名字が“北”と一文字のせいか、余命ブログでは朝鮮人弁護士ということになっています。懲戒請求とは、“この人物から弁護士資格を剥奪せよ”という大変強烈なもの。そんな書類が、現在までに960通も届きました。私自身は朝鮮学校うんぬんにはまったく関与していないのですが……」
海外経験豊富な元商社マンが豹変
まさに青天の霹靂、私が受けた960件の懲戒請求
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