「メルカリで誰も買わないワシの服」老人たちの心の叫び!? シルバー川柳傑作選
今年も公益社団法人全国有料老人ホーム協会が募集するシルバー川柳の入選作品が発表された。なんとも言えない哀愁が漂う名句が生まれることで有名なシルバー川柳だが、今回は今年入選した20首の中から特に注目の作品を紹介する。
過去の入選作品も振り返ってみよう。
●合コンだ入歯みがいて紅さして(女性・北海道・60歳)
記念すべき第1回の作品。たくましく生きていこうとする女性の姿がありありと浮かんでくる。女性にとってはどれだけ年をとっても生きることは恋することなのだろう。
●「君の名は?」老人会でも流行語(女性・岡山県・62歳・主婦・2017年入選)
言わずとしれた新海誠監督のヒット作に影響を受けたもの。大好きな人の名前をなんとか思い出そうとして紡ぎだしたセリフも、老人会では日常茶飯事で使われるらしい。
●五郎丸まねて念仏かと訊かれ(女性・北海道・55歳・パート・2016年入選)
ラグビーの元日本代表・五郎丸選手がするポーズに影響を受けたもの。年をとっても茶目っ気のあるところを孫にでも見せようと思ったのか。ふざけるどころか信心深くとられてしまったようだ。歳を取るとふざけるのも一筋縄ではいかない。
それぞれの生活や人生が浮き彫りになるシルバー川柳。そこには老いても日々を面白おかしく生きる人々の営みが垣間見える。
出典:公益社団法人全国有料老人ホーム協会
<取材・文/南ハトバ(僧侶兼ライター)>
●グレーヘアしたいがすでにハゲ頭(男性・広島県・76歳・無職)
時代が遅すぎたのか、ハゲるのが早すぎたのか。グレーヘアで話題をさらった近藤サトさんのように素敵な歳の取り方をしたい……。そう思ったころにはグレーどころか、すっかりネイキッドヘアになっていたおじいさんの渾身の一句。
●徘徊のルートAIにも読めず(男性・宮崎県・67歳・会社員)
近年、将棋のトップ棋士を破るなど、めまぐるしい進歩を遂げているAIだが、徘徊する老人の一歩先を読むにはまだまだ時間がかかりそうだ。
●メルカリで誰も買わないワシの服(女性・島根県・51歳・自営業)
悲しすぎる。農協の作業服か、使い古したフィッシングベストでも出したのだろうか。落札したらみかん箱に入れられて届きそうだ。
●問診にオレより妻が答えてる(男性・静岡県・68歳・講師)
サザエさん感がある。
●仲いいねいいえ夫は杖代わり(女性・埼玉県・67歳・無職)
ツンデレな感じで可愛い。
●失言は家庭内でも命取り(男性・和歌山県・64歳・無職)
政治家だけでなく、家庭でも無遠慮な一言で立場を失うお父さんが多いようだ。しかし、多くの家では奥さんが与党で大臣で裁判官で首相だ。政治なら野党がいろいろ言えるはずなのに、家庭では発言権すら与えられていない。
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