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『どうする家康』で話題の今川家、現代社会なら「ベンチャーによって倒産に追い込まれた名門企業」

「今川家」がもし現代の企業ならどんな会社だったのか?

 NHK大河ドラマ『どうする家康』で徳川家康はもちろん、同盟を組んだ織田信長や、揺さぶりをかけてくる武田信玄など、名だたる戦国大名が改めて注目されている。なかでも、従来とは異なる描き方がなされているのが「今川家」である。
高層ビルを見上げるビジネスマン

※写真はイメージです。以下同(Photo by Adobe Stock)

 拙著『企業として見た戦国大名』(彩図社)では、「もし、戦国大名たちが企業の経営者ならどんなタイプだったか」を解説した。今川家は現代の企業だったら、どんな組織だったのか?  自分が社員ならば、働きたいと思うかどうか想像しながら、読んでみてほしい。

信長によって名家が一転して没落

桶狭間古戦場公園の今川義元像

桶狭間古戦場公園の今川義元像

「桶狭間の戦い」での敗北をきっかけに、今川家は転げ落ちるように没落。信長に敗れたのは、さぞ屈辱だったことだろう。なにしろ、もともと今川家は、室町時代から戦国時代にかけて、実に230年にもわたって駿河を支配した名家中の名家である。  室町幕府を開いた足利尊氏は、今川家についてこんなふうに書き残しているくらいだ。 「御所(足利将軍家)が絶えなば吉良が継ぎ、吉良が絶えなば今川が継ぐ」  将軍家が絶えたならば吉良が、吉良が絶えたら今川家がその後を継ぐ――。  吉良とは、足利氏の有力一門・吉良氏のことで、将軍家に次いで権勢を誇るほど、今川家は強大だった。まさか滅びるなど、タイムスリップして当時の人々に教えたとしても、誰も信じてはくれないだろう。今川家はまさに「ベンチャーによって倒産に追い込まれた名門企業」といえそうだ。  だが、一方で、その統治法は、必ずしも悪手ばかりではない。むしろ、いち早くさまざまな改革に取り組んでさえいた。
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人材の適正に応じた組織改編
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伝記作家、偉人研究家、名言収集家。1979年兵庫県生まれ。同志社大学卒。業界誌編集長を経て、2020年に独立して執筆業に専念。『偉人名言迷言事典』『逃げまくった文豪たち』『10分で世界が広がる 15人の偉人のおはなし』『賢者に学ぶ、「心が折れない」生き方』など著作多数。『ざんねんな偉人伝』『ざんねんな歴史人物』は累計20万部を突破し、ベストセラーとなっている。名古屋外国語大学現代国際学特殊講義、宮崎大学公開講座などで講師活動も行う。最新刊は『「神回答」大全 人生のピンチを乗り切る著名人の最強アンサー100』。

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