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日韓関係“最悪”のなか迎えた「竹島の日」。3・1「独立運動100周年」で反日ムードがさらに…

3.1独立運動100周年が思いやられる……

「盗人猛々しいのはオマエらや! 帰れ! 二度と来んな!! 島根県警の皆さん、アイツらに韓国の旗を揚げさせんなよ!!」  右翼団体の怒号が、機動隊のバリケードを挟んでわずか100m先にいる韓国の民族団体「独島守護全国連帯」(「独島」は竹島の韓国側の呼称)のメンバーに浴びせられる……。そんな一触即発の物々しい空気に包まれた一日となった。 「竹島の日」ドキュメント 2月22日、島根県松江市で「竹島の日」記念式典と竹島・北方領土返還要求運動県民大会が開催された。 「竹島の日」を定めた県の条例に基づく式典は今回で14回目。折しも、慰安婦支援財団の一方的な解散に始まり、火器管制レーダーの照射問題や元徴用工訴訟判決への対応、さらには、韓国国会議長・文喜相(ムンヒサン)氏による天皇陛下への謝罪要求と「盗人猛々しい」発言で、日韓関係が「史上最悪」と言われるほど冷え込むなか、韓国の活動家らが「粉砕集会」を掲げて現地に乗り込んできたこともあり、式典会場には金属探知機が設置されるなど厳戒態勢が敷かれた。
「竹島の日」ドキュメント

厳戒態勢下で迎えた「竹島の日」の記念式典には、元防衛相の稲田朋美自民党筆頭副幹事長ら国会議員13人を含む460人が参加。政府から派遣された安藤裕内閣府政務官は「竹島は歴史的事実に照らしても、国際法上も、明らかに我が国固有の領土。我が国の立場を韓国に伝え、冷静に粘り強く対応していく」と意気込みを語った

 これに先立ち、日韓外相会談が開催された15日には、あえてこの日を狙い撃ちするかのように韓国の海洋調査船が竹島の領海に侵入したことも明らかとなっているが、なぜ韓国は、ここまで執拗に「挑発行為」を繰り返すのか? ソウル支局長時代の’14年に、当時の朴槿恵(パククネ)大統領の名誉を毀損したとして不当逮捕・起訴(のちに無罪確定)された経験を持つ産経新聞編集委員の加藤達也氏が話す。 「韓国国内では、2月22日は毎年多くの反日イベントが催されるが、もっともラディカルなのが『独島守護全国連帯』です。彼らは自腹で日章旗焼却イベントなど派手な活動をしているが、団体のメンバーは30人ほどと小規模。政党の支援も資金力もないことから、過激な“営業活動”で注目を集めるために、毎年日本にやってくるのです……。  そもそも、デモや集会などの反日運動に参加する層には、関わり方の度合いに濃淡があります。中核には政治運動として携わっている活動家。その周囲に活動家に賛同する人たちがおり、その外周に反日運動を見つめる一般の人々がいる。手当をもらってデモに参加する人間も少なくないが、韓国における反日運動は社会貢献や人権擁護のため……といった側面が強く、日本でいえば“献血運動”くらいの感覚でデモに行く人が多い。  これまで行ってきた領土教育の賜物で、小中学生が『授業は出席扱い』でデモに動員されたり、独島体験館の案内役をボランティアでやらせるなど制度的なサポートが充実しているため、人が集まりやすいのです」
「竹島の日」ドキュメント

韓国国内で行われた「竹島の日」を批判するデモ。なかには小学生と思われる参加者の姿も

 22日、韓国国内ではソウルの日本大使館前などで抗議デモが行われたが、加藤氏が指摘するように子供の姿が目立った。昨年11月には、韓国の女子中学生の差出人名で、日本の竹島教育を批判する41通の手紙が島根県内の中学校に届いている。これに対し、竹島が日本固有の領土である根拠を優しく諭す「反論」の手紙を韓国側に送り返した、島根県庁「竹島問題研究会」座長で拓殖大学教授の下條正男氏が話す。 「韓国の中学生らによる手紙攻勢は日本の国会議員にも仕掛けられているが、手紙の内容は東北アジア歴史財団が練ったものです。韓国政府が’11年に『小・中・高等学校独島教育の内容体系』を発表してから、学生を対象とした領土教育が進み、『独島が韓国領であることを日本人に教えてあげる』ための学習が徹底されるようになった。  これに対し、日本の学習指導要領に竹島が記されたのは’17年度から。領土・主権展示館が’18年に開館に漕ぎ着けたものの、資料の陳列にとどまり、縦割り行政の弊害で情報発信も広がらず、韓国に大きく後れを取っているような状況です。  すでに竹島は年間20万人の観光客が訪れており、島の実効支配を既成事実化させるため新たな施設を造る動きもあるなど、“観光地化”が急速に進んでいる。やはり、日本政府の対応が後手後手に回っていると言わざるを得ません」
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出発点から力の入れ具合が違う日本と韓国
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