更新日:2019年09月27日 15:37
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安倍政権が取り組みに力をいれる“二つの北”とは?/江崎道朗

G20

安倍首相は12月1日、G20が開催されたアルゼンチンのブエノスアイレスで、ロシアのプーチン大統領と会談した。北方領土問題を含む平和条約締結に向け、河野太郎外相とラブロフ外相を交渉責任者とし、協議を加速させることで合意した ※写真は首相官邸公式サイトより

二つの「北」と対等に渡り合う力が日本にあるか

 安倍首相があれほど執念を燃やしていた憲法改正だが、臨時国会でもまったく進展がなかった。審議を拒んだ立憲民主党ら野党の責任が大きいが、外国人労働者の受け入れ拡大を図る「出入国管理法改正案」を出せば、憲法改正どころではなくなることは安倍政権もわかっていたはずだ。  安倍首相は何を考えているのか。永田町で何人かの人たちに疑問をぶつけたところ、ある人から「二つの北という言葉を知っているか」と言われた。 「どういう意味ですか」と尋ねると、「官邸がいま懸命に取り組んでいるのが、北朝鮮と北方領土の二つの『北』だという噂が飛び交っている」というのだ。 「北朝鮮とは、横田めぐみさんたち拉致被害者の奪還のことですか、それとも北朝鮮の核開発のことですか」 「それはわからないが、官邸主導で北朝鮮との秘密交渉を進めていて、主導権を奪われた外務省がイラ立っていると聞いている。ともかく安倍首相はこの二つの北にこだわっているというのだ」 「デフレ脱却と憲法改正は?」 「デフレ脱却については景気も上向きつつあるし、ある程度メドがついたということではないか。憲法改正については、首相として十分に旗を振ってきたので、あとは自民党執行部に任せたいということではないか」
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国際条約を破る常習犯である二つの「北」
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(えざき・みちお)1962年、東京都生まれ。九州大学文学部哲学科卒業後、石原慎太郎衆議院議員の政策担当秘書など、複数の国会議員政策スタッフを務め、安全保障やインテリジェンス、近現代史研究に従事。主な著書に『知りたくないではすまされない』(KADOKAWA)、『コミンテルンの謀略と日本の敗戦』『日本占領と「敗戦革命」の危機』『朝鮮戦争と日本・台湾「侵略」工作』『緒方竹虎と日本のインテリジェンス』(いずれもPHP新書)、『日本外務省はソ連の対米工作を知っていた』『インテリジェンスで読み解く 米中と経済安保』(いずれも扶桑社)ほか多数。公式サイト、ツイッター@ezakimichio

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 ’17年、トランプ米大統領は中国を競争相手とみなす「国家安全保障戦略」を策定し、中国に貿易戦争を仕掛けた。日本は「米中対立」の狭間にありながら、明確な戦略を持ち合わせていない。そもそも中国を「脅威」だと明言すらしていないのだ。

 日本の経済安全保障を確立するためには、国際情勢を正確に分析し、時代に即した戦略立案が喫緊の課題である。江崎氏の最新刊『インテリジェンスで読み解く 米中と経済安保』は、公刊情報を読み解くことで日本のあるべき「対中戦略」「経済安全保障」について独自の視座を提供している。江崎氏の正鵠を射た分析で、インテリジェンスに関する実践的な入門書として必読の一冊と言えよう。

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