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126年の歴史を持つ夕張線が廃線。地元民「悲しいけど…影響はない」

夕張線が廃止になっても地元住民への影響はない?

夕張駅にある想い出ノート

夕張駅にある想い出ノート

 実際、夕張に住む方たちにも話を聞くことができたが、「移動はすべてマイカー。夕張線は先日、最後の記念に乗ったけど、それが10数年ぶりの乗車だった」とは農家の50代男性。  また、40代の主婦は夕張市が2007年に事実上の財政破綻に陥ったことに触れ、「お金がないから自自治体は金銭的な支援もできない。市の破綻から10年以上も廃線にならなかったのがむしろスゴい」と冷めた様子で語っていた。
夕張駅(駅舎外観)

夕張駅(駅舎外観)

 なお、夕張市内の一部地域では、2017年10月から路線バスが廃止になっているが、夕張線の沿線ではなく影響は薄そうだ。自治体は当該地域在住の高齢者に対し、タクシー代金の補助(※利用者は300円を支払い、残りは市が負担)やスクールバスへの混乗などで対応している。 「鉄道がなくなるのは悲しいけど、乗らないからねぇ。個人的には廃線になっても影響はまったくないよ」  そう語ったのは半世紀近く夕張で暮らす70代の男性。確かに、生活の足として利用する人がいなければ鉄道の存続は厳しい。  廃線となる夕張線の沿線には、4月から路線バスが1日10往復程度運行。本数も鉄道よりも増便となり、利便性は増す。夕張線が線路やトンネルの維持などにコストがかかり、年間1億6600万円(※2017年)の赤字を抱えていたことを考えると合理的な判断だろう。

夕張線だけではない。今後も廃線ラッシュが続く北海道

 だが、廃線になるのは夕張線だけではない。JR北海道は夕張線以外にも札沼線の北海道医療大学~新十津川の来年5月の廃止を決定。2016年の台風被害により運休が続いている日高本線の日高門別~様似間も現時点では確定ではないが、沿線自治体が廃線を容認している。同じく日高本線の運休区間の日高門別~鵜川間もJR側と自治体の協議が続いており、どちらも廃線となる可能性が高そうだ。  さらに根室本線の東鹿越~新得間も2016年の台風で被災したままとなっており、「自社単独では維持が困難」と廃線を提案している。
夕張駅(停車中の折り返し列車)

夕張駅(停車中の折り返し列車)

 ローカル線が次々と消え、今後もしばらくは廃線ラッシュが続きそうな北海道。同じ列車に乗り合わせた千葉から訪れた60代の鉄道ファンは、「大学生のころ、鉄道で北海道を旅したが、当時は網の目のように路線が張り巡らせていたが、今はあちこちが廃線になってスカスカ。時代の流れなのかもしれませんけど……」とさびしそうに話していた。  期待の北海道新幹線も赤字を抱え、今後も厳しい状況が続く見通しのJR北海道。普通・快速列車が乗り放題で人気の『青春18きっぷ』でも昔よりも旅がしづらくなり、気がつけば鉄道ファンに対して優しい土地ではなくなってしまったようだ。<TEXT/高島昌俊>
フリーライター。鉄道や飛行機をはじめ、旅モノ全般に広く精通。3度の世界一周経験を持ち、これまで訪問した国は50か国以上。現在は東京と北海道で二拠点生活を送る。
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