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高輪ゲートウェイ駅立地の謎。走行間隔が狭い中に開設したワケ

49年ぶりの山手線新駅。観光スポットの「新聖地」

「子供がずっと休みなので一緒にきたのですが、これだけ人が集まると(新型コロナウイルスの感染リスクが高まるから)怖いですね。駅構内を2、3周回ったら改札を出ずにそのまま帰ります(苦笑)」 高輪ゲートウェイ駅 “コロナショック”の煽りを受けて、あいにく「開業記念イベント」は中止となったが、相模原市から来たという自称「乗り鉄」の40代男性と小学4年男子の親子はマスク越しにこう話した――。  3月14日、山手線と京浜東北線の新駅「高輪ゲートウェイ駅」(東京都港区)が誕生した。初のお披露目となったこの日、駅構内が「停電」に見舞われるハプニングもあったが、オープン初日とあって午前中から多くの鉄道ファンが殺到。一時、「入場規制」がかけられるほどの大盛況となった。
高輪ゲートウェイ駅

開業日の日付が刻印されたきっぷを求める行列。ツイッター上には最大「210分待ち」と書かれた看板の写真も投稿された

 山手線の新駅は’71年に開業した「西日暮里駅」(東京・荒川区)以来、実に49年ぶり。約13haにも及ぶ広大な車両基地の跡地に、JR東日本が品川駅から田町駅にかけて一体開発する「品川開発プロジェクト」の中核として新設された。  「折り紙」をモチーフにした4000㎡にも及ぶ大きな屋根をはじめ、岩手、宮城、福島の東北3県のスギの木材をふんだんにあしらった梁や木目調のタイル床など、「和」のテイスト溢れる駅舎をデザインしたのは、新国立競技場も手掛けた世界的建築家・隈研吾氏。駅構内には、AIを搭載したカメラで商品を認識し自動決済する「ウォークスルー型」の無人コンビニが設置されているほか(23日開業)、「未来型ステーション」と呼ぶに相応しい最新鋭の機能が随所に散りばめられているという。  JRや私鉄各社が後援する「鉄旅オブザイヤー」の選考委員も務める鉄道ライターの杉山淳一氏が話す。 「まだ実証実験の段階ですが、JR東日本初のQRコード改札や案内・清掃・警備を担うサービスロボット、さらには、4か国語対応で会話型案内が可能なデジタルサイネージ(電子看板)も配備されるなど、高輪ゲートウェイ駅はハイテクを駆使した一大AIテーマパークとなっています。  東急や阪急など私鉄各社が、更地に線路を敷き、駅を建て、周辺の土地を開発してきた一方で、JRはすでに多くの人が暮らす街に、住民の要望で駅をつくってきました。そのため、地元企業や自治体が資金協力している場合も多く、私鉄のように好き勝手に駅を建てられなかったのです。  だが、今回の新駅はもともとJR東日本が所有する品川車両基地の跡地を利用しているため、初めてやりたい放題につくった駅と言っていい。つまり、高輪ゲートウェイ駅には、JR東日本が考え得るあらゆる試みが詰まっているのです」
高輪ゲートウェイ駅

駅構内に設置されたコミュニケーションロボット「EMIEW3(エミュースリー)+AI」の周りにはたくさんの人だかりが

 ほかにも、女性用トイレの姿見に四季折々の画像や時刻が映し出されるミラーサイネージや、近距離料金表に最新鋭のディスプレーが採用されるなど見どころは豊富だ。
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明朝体にブーイングも…
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