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発着本数が0本の駅!? 行ってみたらとんでもない秘境駅だった

―[シリーズ・駅]―
 以前、発着本数が1日わずか1本ずつの北海道・新十津川駅の訪問記を紹介したが、福島県内には“列車が1本も停車しない駅”があるとの情報を入手。 「それってただの廃駅なんじゃ……?
“列車が1本も停車しない駅”

“列車が1本も停車しない駅”とは?

 そんな風に考えていたことは否定しないが、別の取材で東北を回っていた10月某日、せっかくなので噂の発着0本駅まで足を延ばしてみることにした。

冬は雪が深くて駅まで近づけない?

 ちなみにその駅とはJR奥羽本線の「赤岩駅」。一応、住所は福島市だが山形との県境から近く、Googleマップで確認すると、駅があるのは険しい山奥の谷間。福島駅からは直線距離で12.3キロほどしか離れていないものの、うねりくねった山道を通らなければならず、思った以上に大変な道のりのようだ。
複数の廃屋があった駅近くの大平集落

複数の廃屋があった駅近くの大平集落

 実際、途中からは細い山道となり、落石と思われる大きな石があちこちに転がっていた。20分ほど車を走らせると大平集落という少し開けた場所に到着。3世帯5人が暮らしているらしいが、人の気配がまったく感じられない。崩れて残骸のようになっている廃屋もあり、限界集落と化しているようだ。
駅へ向かう途中に見かけた「この先注意」の看板

駅へ向かう途中に見かけた「この先注意」の看板

 赤岩駅はこの集落からさらに800メートル先だが高低差は100メートル近くあり、一気に下らなければならない。道路もこれまで以上に細く、軽自動車でないと通行が難しそうだったため、ここからは徒歩で向かうことに。  道路は未舗装だと思っていたが舗装されている箇所もあり、昔はちゃんと整備された道だったのかもしれない。冬はこの辺も雪が深く除雪も入るとは思えないので、駅へのアプローチも難しそうだ。
勾配のキツい坂道で上り下りがキツい

勾配のキツい坂道で上り下りがキツい

 そんなことを考えながら大平集落から歩くこと約20分。この日は秋晴れの過ごしやすい日だったとはいえ、赤岩駅が見えてくるころにはすでに汗だくだ。

廃駅ではなく休止駅だった!

スイッチバック引き込み用に使われていたトンネル

スイッチバック引き込み用に使われていたトンネル

 まず目に入ってきたのは、入口が草木に覆われた廃トンネル。これはスイッチバックの引き込み線用に使用されていたものだ。  鉄道ファン以外には何のことかわからないと思うが、このスイッチバックとは列車が勾配の急な山を走行するため、ジグザグに敷かれた線路を進行方向の反転を繰り返しながら上るというもの。もともと赤岩駅や隣の板谷駅、「峠の力餅」で有名な峠駅、大沢駅は、4駅連続でスイッチバックのある全国でも珍しい区間だったが、1992年の山形新幹線開通に合わせて工事が行われ、すべて廃止されてしまった。
赤岩駅の旧ホーム

赤岩駅の旧ホーム

 だが、赤岩駅にはトンネルだけでなく、旧駅のホームもそのまま残されている。その先には待合室用の小さなプレハブ小屋があるが、そこには大きな文字で《赤岩駅通過(通年)》と書かれた貼り紙がある。
全列車通過を告げる貼り紙

全列車通過を告げる貼り紙

 実は、かつて赤岩駅の周辺には複数の集落があったが住民ゼロの廃集落となり、山道を登った先にある大平集落も同駅を利用している者は皆無。そうした状況などから、JR側の判断で2017年3月4日のダイヤ改正から全列車が通過するようになったのだ。
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撮影には絶好のロケーション
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