更新日:2019年12月11日 16:18
ライフ

発着する列車は1日1本…日本一不便な鉄道駅に行ってみた!

―[シリーズ・駅]―
 東京など大都市圏の駅であれば、上下線で1日数百本に及ぶ列車の発着本数。複数の路線が乗り入れるターミナル駅になれば、数千本が乗り入れることも珍しくない。一方、乗客の少ない地方になると列車の本数は激減し、1時間に1本やそれ以下なんて駅はいくらでもある。なかには上下線各1本、1日たった2本しか発着しない鉄道駅だってあるほどだ。
新十津川駅(駅舎)

新十津川駅(駅舎)

 その駅とは、北海道にあるJR札沼線の終着駅の『新十津川駅』。札幌駅の隣の桑園駅を結ぶ76.5kmの路線で、学園都市線という愛称が付けられているが、どちらの名称も恐らく沿線住民や鉄道ファン以外はピンと来ないだろう。  でも、“1日1往復しか発着しない駅”がどんな場所なのかはちょっと気になる。そこで実際に列車に乗って行ってみることにした。

途中まではあまりローカル線っぽくない

 新十津川駅まで列車で行くには、まず札幌駅6:58発の札沼線(学園都市線)石狩当別行きに乗らなくてはならない。だが、ホームに入線した列車は、ローカル線らしからぬ6両編成。時間帯が朝だからかもしれないが、大勢の通勤通学客が乗り込んでくる。  札幌駅出発後も4つ目の停車駅の新琴似駅までは高架線。沿線も住宅地で建物の高さや密集度こそ違うが、同じ高架線のJR中央線や京王線と大差ないように感じた。  が、そう思っていたのも最初だけ。途中から一気に郊外っぽくなり、雪原に建物がポツンという北海道らしい景色へと変わっていく。
始発駅(出発前の列車)

新十津川行き列車は1両

 札幌を出発してから40分後、列車は石狩当別駅に到着。ここで同駅7:45発の新十津川行きに乗り換えるのだが、列車はディーゼル車でそれもたったの1両。ここに来るまでが6両だっただけにギャップがスゴすぎる。
車内(乗客は鉄道ファンだけ!)

車内(乗客は鉄道ファンだけ!)

 ところが、その1両の車内は座席に座り切れないど混んでいた。実は、大学生が通学に利用していたためなのだが、学生たちは次の北海道医療大学駅で下りてしまい、乗客は1人で4人掛けのボックス席を独占できるほどまばらに。それもカメラをぶら下げた鉄道ファンばかりだ。

乗客よりも保線作業員の数のほうが多い!?

路線図

路線図

 ちなみに1日1往復なのは札沼線でも一番奥に位置する浦臼駅~新十津川駅間で、その手前の石狩当別駅~浦臼駅間は1日6往復ある。その区間でも地元の乗客は少なく、途中駅で乗って下りる年配客が数名いる程度だった。  乗ったのはまだ雪が積もっていた時期だったが、沿線では除雪を行う保線作業員たちの姿を何度も見かけ、乗客より彼らの数のほうが明らかに多かった。同線の北海道医療大駅~新十津川駅は大赤字区間なのだが、それも十分に納得できる。  浦臼駅を過ぎると乗客全員が鉄道ファンという状況で、もはや観光列車状態。運行中ずっと立ちっ放しで車両前方や後方に張り付いて景色を眺めている者、駅に停車するたびに駅名が書かれたホームの駅名標を撮影する者、窓からの沿線の景色を動画で撮影する者……とにかくいろんなファンがいた。
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来年5月7日の廃線に伴い廃駅に
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フリーライター。鉄道や飛行機をはじめ、旅モノ全般に広く精通。3度の世界一周経験を持ち、これまで訪問した国は50か国以上。現在は東京と北海道で二拠点生活を送る。

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