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誰にでも起こりうる定年破産…60歳までにいくら貯めれば安心?

 いま、定年後に、引き上げられた年金受給まで耐えられずに破産する「定年破産」が増えている。背景にあるのは役職定年や定年再雇用による賃金の低下、さらに晩婚化で住宅ローンや高い教育費が60歳をすぎても重くのしかかる。70歳まで普通に働いても、人生100年時代を乗り切ることはできないのか。世間の“普通”が揺らぐ!
破産

※写真はイメージです

令和時代、定年破産を防ぐために60歳までに必要な貯蓄額は?

 老後に必要な貯蓄額は、一説には5000万円とも1億円とも言われている。ファイナンシャルプランナーの藤川太氏は、「メディアは煽りすぎですね」と話す。 「総務省の『家計調査年報』によると高齢夫婦2人世帯の月の平均赤字は5万~5万5000円。65歳で退職して90歳まで25年間、貯蓄を取り崩して生活をする場合、必要な額は1500万円となります」  これはあくまでも、“年金支給開始”されてからの金額だ。定年破産を防ぐために、55~65歳の間にいくら必要なのか? 「下がった割合を補塡するのが理想ですが、全盛期の3分の1程度に下がった定年再雇用後に全額補塡は難しい。生活レベルにもよりますが、60歳からの手取り+10万円があれば、生き延びられるでしょう」  つまり、定年からの10万円×12か月×5年の計算になり、600万円は必要となるのだ。年金以降も考えれば、合計2100万円の貯蓄が必須に……。60代の平均貯蓄額は中央値で1000万円(金融庁「家計の金融行動に関する世論調査」より)、大半の人が還暦以降は破産危機にあるのがわかる。 「実は毎月の赤字金額は、’08年からの10年間で1万5000円も上がっています。増税なのに、収入が下がっている現状です。現在の30代、40代が定年を迎えた時は、もっと必要になりそうです。それこそ2500万円とかに」  では一体どのようにして貯めればよいか。 「まずは固定費を徹底的に削り、次に食費などのやりくり費にも切り込む。一番効果が出るのが携帯代の見直し。今ならキャッシュレス決済でポイントを貯めるなどもいい。1か月で1万円は些細な額に見えますが、40歳の人があと50年生きる場合、生涯で600万円の差が出ます。  貯まる人は、いつまでに、いくら貯めるのか目標を決めて、収入から貯蓄分を先に引き出して残りの額で生活しています。ライフプランと家計簿は貯蓄の両輪。お金は“貯まる”のでなく“貯める”ものですから」  意識を切り替えれば破産は防げる! ★定年再雇用後の5年間を補塡する600万円+年金支給後の老後資金1500万円=60歳までに2100万円が必要だ! 取材・文/アケミン 高島昌俊 松嶋三郎 横山由希路 撮影/貴田茂和 モデル/前田文博(オフィス・オーパ) 写真/PIXTA ― 定年破産する人の共通点 ―
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