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年収700万円でも子供3人の学費で破産「見栄を張り私立に通わせたら…」

 いま、定年後に、引き上げられた年金受給まで耐えられずに破産する「定年破産」が増えている。背景にあるのは役職定年や定年再雇用による賃金の低下、さらに晩婚化で住宅ローンや高い教育費が60歳をすぎても重くのしかかる。奈落の底に落ちていった人たちは今、何を思うのか。破産に至るまでの経緯を当事者たちが語る――。
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※写真はイメージです

小学校から私立に通う子供の学費で、貯金がないまま定年に…

…大山辰夫さん(仮名・63歳・機械メーカー) 「40代で年収は700万円。年功序列の会社でさらに増えると思い、子供の教育費にお金を注ぎ込んだのが間違いでした……」  そう話す大山辰夫さん。結婚したのは38歳と晩婚、すぐに子宝に恵まれたが、“3人”つくったのが仇に。 「親の見栄もあり3人の子供は小学校から私立に入れていました。入学金、学費など年間200万円程度は払っていましたが、当時は払える余裕が実際ありました。中古ですがマンションも買いましたし、家族で海外旅行にも行くし、結構散財していました。まぁ、子供が独立したら貯めようかな~ぐらいの軽い気持ちだったんですが……」  貯金はこの20年間、300万円前後を推移していたという大山さん。そのまま定年を迎えて再雇用を希望、賃金は半分に落ちてしまう。ただ退職金1000万円でカバーできる算段だった。 「次男と三男は年子で、2年続けて大学入学金の支払いが生じました。自分たちの生活費も込みで、退職金はものの2年ほどでパー。そこに長男が決定打になったのが留年です。正直に家計が火の車であることを本人に話し、退学させることも提案しましたが、『ココでキャリアを潰したくない』と拒否されました。  今さら子供たちに奨学金を背負わせる気はなく、一時しのぎで借り続けた教育ローンの総額は800万円。現在の300万円代の年収では、子供3人にご飯を食わせるので精いっぱいですよ。おかげで返済のためにマンションは手放すことになりました。三男の卒業まで、持ち堪えられるとは、到底思えません……」  この“払える余裕”こそが、一番の貯め時。子供の教育も大事だが、それで家計が破綻しては本末転倒だ。 ― 定年破産する人の共通点 ―
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