更新日:2019年06月22日 19:15
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親の介護にいくらかかる?親子共倒れの恐怖

 いま、定年後に、引き上げられた年金受給まで耐えられずに破産する「定年破産」が増えている。背景にあるのは役職定年や定年再雇用による賃金の低下、さらに晩婚化で住宅ローンや高い教育費が60歳をすぎても重くのしかかる。70歳まで普通に働いても、人生100年時代を乗り切ることはできないのか。世間の“普通”が揺らぐ!
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※写真はイメージです

定年世代に忍び寄る親の介護問題

 定年破産する要因の一つに、“介護”がある。その理由をファイナンシャルプランナーの橋本明子氏は次のように語る。 「定年世代の親はちょうど80~90代、介護が始まる頃です。生命保険文化センターの平成30年度調査ですが、自宅介護でも初期費用の平均69万円、ましてや有料老人ホームの場合は入居一時金だけで300万円以上かかる施設は全体の約半数。某大手老人ホームに月々25万円を払う知人もいます。しかもそのお金は、本来は自分の老後のために貯めたもの。自分のための積立金が、そっくりお母さんに流れてしまっているのです」  医療技術が進んだため、介護状態が長く続くのも、喜ばしい半面、家計には辛いことも……。 「介護が始まってから亡くなるまでの平均年数が、4~10年が全体の42.8%(「生命保険に関する実態調査」より)。年々延びており、親世代が長生きするほど、子供の資産が減るのです」(橋本氏)  介護費用として両親の年金をアテにできるのは、しっかり定年退職まで勤め上げたサラリーマンのみだろう。特に、自営業者の年金額はわずかだ。 「ずっと自営業だと、支給されるのは国民年金の平均月額5万5000円のみ。夫婦で10万円程度の収入を得たとしても、在宅介護でも月平均5万円かかることを考えれば子供がお金を出すしかありません。片方が地方在住で介護の必要性が出てきたケースは大変です。  親を首都圏の自分たちの元に呼び寄せたとしても、核家族化した家にお母さんの部屋はありません。食費を含む生活費は家族で一緒に賄えたとしても、動けるうちは近所に部屋を借り、親の家賃を負担することになります」  しかも親の年金額は今後さらに低下する。定年破産時代は、親の介護をすることすら困難だ。 <介護にかかる費用は?> 平均7.8万円×平均介護期間54.5か月×初期費用平均69万円=494.1万円 (公益財団法人 生命保険文化センター「平成30年度 生命保険に関する全国実態調査(速報版)より」) ― 定年破産する人の共通点 ―
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