仕事

年収1100万円でも定年破産する家庭「毎月7万円の赤字です」

 いま、定年後に、引き上げられた年金受給まで耐えられずに破産する「定年破産」が増えている。背景にあるのは役職定年や定年再雇用による賃金の低下、さらに晩婚化で住宅ローンや高い教育費が60歳をすぎても重くのしかかる。奈落の底に落ちていった人たちは今、何を思うのか。破産に至るまでの経緯を当事者たちが語る――。
ブランド品

妻の高級バッグコレクションの一部。「青春時代をバブル期に過ごしたせいか、いまだブランド品には目がありません」(後藤氏)

専業主婦の妻の散財で、生活コストを下げられず…

…後藤照史さん(仮名・58歳・商社)  教育費や住宅ローンを払い終える50代後半は、来るべき老後に備える「最後の貯め時」だ。 「4000万円の自宅マンションのローンは繰り上げ返済で完済。今春には次女が私立大学を卒業しました。今は専業主婦の妻(54歳)とふたり暮らしですが、最後の貯め時はおろか実は家計は毎月5万~7万円の赤字なんです」  そう明かすのは、商社マンの後藤照史さん。10年前には海外赴任をし、年収は1100万円にまで及んだ。経済的に余裕がある後藤さんの家計は、なぜ赤字に陥るのか。 「役職定年で給与が約3割減したことに加え、最大の要因は妻の散財ですね」  後藤さんの妻は社交的な性格に加え、30~40代のころから習い事が多く、交友関係も広い。 「最近では英会話やジムなど習い事に月5万円以上、海外旅行にも頻繁に出かけています。これもすべて私が現役時代、忙しさにかまけて家計のすべてを妻に任せていたのが原因。よくも悪くもそこそこ稼いでいたために、お金について話し合ってこなかった。また老後の生活への危機感も希薄で、年収のわりに貯金をしてこなかった。先日には700万円の貯えがついに100万円台にまで目減りしてしまいました」  老後の生活を憂慮した後藤さんが「少しでも苦しい家計の足しになれば」と妻にパートを提案したものの、即座に拒否されたという。 「『もしもご近所さんに知られたら恥ずかしい』と一点張り。生活レベルを落とす気配はなく、年内には借金生活が始まるでしょう」  妻の金銭感覚をアップデートしない限り、破産は待ったなし。
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